2018 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms of cell differentiation and diversity by TGF-beta family members
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
17H06326
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮園 浩平 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (90209908)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 発生・分化 / シグナル伝達 / 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 脳腫瘍幹細胞(GIC)の分化と多様性誘導の分子機構:BMPによるGICの分化誘導に重要な分子として、PRRX1とEPHA6を同定した。PRRX1はBMP-4刺激で発現が誘導され、CD133 (PROM1)の発現を抑制しGICの分化を誘導する。PRRX1には2つのisoform (pmx-1aとpmx-1b) が存在するが、pmx-1bのみがGICの分化を誘導した。3種類のDNAメチル化酵素の作用を検討したところ、DNMT3Aのみがpmx-1bと結合し、DNMT3AのノックダウンでCD133の発現が促進された。 2) 同所性移植を用いた各種がん細胞由来の高悪性細胞の解析:膵臓がんや腎臓がんをモデルとして、同所性移植で得られる高悪性株の特徴を解析した。腎細胞がん細胞由来の同所性移植株では腫瘍内在性炎症が増悪し、好中球依存的に肺転移が見られた。腫瘍内在性炎症を担う転写制御機構としてスーパーエンハンサー形成が関与することを確認した。 3) ES細胞および肺血管内皮細胞のBMPによる分化と多様性誘導機構:Smad1/5のChIP-seqデータから予想されるマウスES細胞分化に関わるエピジェネティック因子について、MERVL、Zscan4遺伝子の発現とSmadとの結合を指標にスクリーニングを行い、ヒストン脱メチル化酵素Kdm1aを同定した。また、BMP9/10の肺血管内皮細胞における標的遺伝子ATOH8を同定し、原発性肺高血圧症(PAH)の病因として、ATOH8によるHIF2alphaの作用の抑制、血管内皮細胞の生存亢進の重要性をATOH8ノックアウトマウスなどを用いて明らかにした。 4) 組織透明化によるマクロから1細胞レベルでの細胞ダイバーシティーの検討:組織透明化手法により、とくに血管・リンパ管を臓器・組織レベルで解析し、疾患との関連を明らかにする系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は当初計画した研究はすべて順調に進行している。脳腫瘍に関する研究では研究費の繰越しを行なったが、期間内に計画した研究を完了することができた。現時点での発表論文数は限られているが、いくつかの研究テーマについては論文投稿準備中である。 我々の研究室で進行している組織透明化技術については領域内で共同研究の要望が多いことから、当初の3つの研究テーマに加えて「組織透明化によるマクロから1細胞レベルでの細胞ダイバーシティーの検討」を研究テーマとして研究を進めている。 脳腫瘍幹細胞に関する研究成果は、ある種の転写因子がDNAメチル化を部位特異的に制御することで幹細胞の分化を制御することを示唆する画期的な成果と考えられる。 またATOH8と原発性肺高血圧症(PAH)の関連に関する研究は、家族性PAHの70%近くでBMPのII型受容体遺伝子(BMPR2)の変異がみられることから、BMP-9/10-BMPRII-ATOH8の経路が肺血管内皮細胞の生存と機能維持に重要であることを示唆する成果で臨床的にも極めて重要と考えられた。 本研究領域では若手研究者の育成・国際交流が進められ、本研究課題でも多くの若手研究者が大きな成果をあげた。腎細胞がんの研究では西田純(大学院生)が東京大学生命科学シンポジウム(H30年)および日本がん転移学会学術集会・総会(H30年)でポスター賞を受賞した。組織透明化の研究では高橋恵生(連携研究者)が11th AACR-JCA Joint Conference(ハワイ、H31年2月)では口頭発表者に選ばれて発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って今後も研究を進める。 とくに透明化技術を応用して様々な組織・細胞を可視化し、本新学術領域の他のグループとの連携で細胞ダイバーシティーの分子機構の解明に貢献する。血管・リンパ管のマクロから1細胞レベルまでの可視化について種々の臓器を用いて解析を行う。さらに血管・リンパ管のがんや線維化など種々の病態における変化を可視化することを試みる。 本研究の研究成果は英文雑誌に可能な限りopen accessとして発表することで、成果を広く共有する。研究代表者の本研究課題申請時(H28年10月)のh-indexは109であったが、H31年4月末の時点でh-indexは120となった。今後も質の高い論文を公表することを目指す。
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Research Products
(25 results)
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[Journal Article] Chemical landscape for tissue clearing based on hydrophilic reagents2018
Author(s)
Tainaka K, Murakami TC, Susaki EA, Shimizu C, Saito R, Takahashi K, Hayashi-Takagi A, Sekiya H, Arima Y, Nojima S, Ikemura M, Ushiku T, Shimizu Y, Murakami M, Tanaka KF, Iino M, Kasai H, Sasaoka T, Kobayashi K, Miyazono K, Morii E, Isa T, Fukayama M, Kakita A, Ueda HR.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 24
Pages: 2196-2210.e9
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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