2017 Fiscal Year Annual Research Report
Model construction and theorization of intercell interactions
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
17H06330
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
川崎 秀二 岩手大学, 理工学部, 准教授 (10282922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 浩史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40302088)
菅野 江里子 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70375210)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 遺伝子発現量 / 一細胞解析 / クラスタリング / 連鎖関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、卵巣がん一細胞遺伝子発現データの数理/情報科学的解析の緒についたところである.データは約1万3千種の遺伝子および約1千6百個の細胞についての発現量であり、下処理により7つのクラスタの細胞群に分類されている.クラスタ間の相互作用の痕跡を見出し、がん形成メカニズムを明らかにする事を目的としている. 遺伝子発現量ベクトルのヒストグラムについて、これまで多数のツール(スクリプトプログラム)を開発して注目遺伝子を固定する毎に関連度の高い遺伝子を抽出する事を行ってきている.そこで発現パターンの間の距離の大小が、ほぼそのまま発現量のヒストグラム階級の差の大小に対応している事を見出した.だいたいにおいて同系統の遺伝子どうしを複数抽出できており、これは共発現している遺伝子を捉えていると考えている.大まかには、発現量の小さい遺伝子から大きい遺伝子へ向かって上流→下流として発現が連鎖的に起こっている事が分かってきた.これは通常の細胞では、発現量のスケールの異なる遺伝子が多数存在する事から、成り立たない事と考えられる.恐らく、最終的な発現パターンへ向かって収束していくようになっているものと考えているが、これは今後の検証が必要である.ヒストグラムは、裾の重い分布となっており、これは通常の緩和系で無い、非線形の作用が起こっている非平衡系である事、つまりがん形成に向かってひたすら暴走している状態を示唆していると考えられる.これについては自己組織化等の非平衡系の現象に対応したダイナミクスの数理モデリングが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該分野において新しい形式のデータであり、何をどう調べれば良いか、標準的なものが定まっておらず、基本的にパイオニアの取り組みとして苦慮する部分が多い.数学者、生物学者の班での取り組みの体制としていたが、現状ではデータ解析あるいはバイオインフォマティクス的な解析がより適しているであろうとの感触を持っている.また,時間情報の無い静的なデータから発現の相互作用の痕跡を見出す事の難しさや、1つ1つのデータ解析に時間がかかる事の困難さがある.
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Strategy for Future Research Activity |
バイオインフォマティクスのポスドク研究者を雇用する事を計画しており、これと協働する事でプログラミングおよびデータ解析といった情報科学的な面からの問題はだいぶ緩和されるものと考えている.また、研究代表者には遺伝子を専門とする生物学者を研究協力者として配置し、数理科学的考察に必要な生物学的知見のサポートを常時提供できるようにする.さらに、研究班内での連絡・打ち合わせを密にする事で、当初の齟齬をできる限り排除するようにする.データ解析については、高性能PCを購入する事で対応する予定である.
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