2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
17H06341
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
床呂 郁哉 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90272476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 ゆか子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (00700931)
田中 みわ子 東日本国際大学, 健康福祉学部, 准教授 (10581093)
西井 凉子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20262214)
塩谷 もも 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (90456244)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 顔 / 身体 / 文化人類学 / 東南アジア / イスラーム / 芸能 / トランスカルチャー状況 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究班は、人類学的フィールドワークを含むフィールドサイエンスの研究手法を駆使し、顔と身体表現について、現場の文脈に即した調査研究を行う。顔や関係する身体表現に関して、イスラーム圏を含む東南アジア域内における異なる文化・社会的文脈に応じた比較研究を遂行することを目的としている。平成30年度では、前年度に引き続き、顔を含む各種の身体的表現、衣服、装飾、仮面、ヴェール・スカーフなど顔と身体表現に関わる項目に関し、東南アジア各地の文化ごとの差異と共通性を析出するための基礎的な実地調査に基づく研究を実施した。具体的には、床呂郁哉は東南アジア島嶼部における顔と装飾文化の関わりや顔の表出に関してキリスト教徒とムスリムの両文化圏での比較調査を実施した。吉田ゆか子は、インドネシアのバリ島を中心とする仮面芸能についての現地調査から、バリの身体表現における顔の役割やその文化的文脈に関して研究を実施した。塩谷ももは、インドネシアのジャワ島など東南アジアのイスラーム圏における女性イスラーム教徒のヴェールやスカーフ等の着用をめぐる顔や身体の表出と隠蔽に関しフィールドワーク研究を行った。また西井も担当地域であるタイにおける政治的暴力の現場における顔・身体表象に関する研究を行った。 またこのようなメンバーによる個別の調査研究に加え、班全体での成果共有と本領域の他班との連携も兼ねて国内でのシンポジウムと領域会議を実施した。特に平成30年にAA研で実施したシンポジウムでは領域全体のテーマでもあるトランスカルチャー状況をめぐって特別セッションが組まれ基づき集中的な討議を実施するなど、本領域の他の計画班との有機的な連携活動にも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に推移している。本研究班は、人類学的フィールドワークを含むフィールドサイエンスの研究手法を駆使し、顔や関係する身体表現に関して、イスラーム圏を含む東南アジア域内における異なる文化・社会的文脈に応じた比較研究を遂行することを目的としている。この目的のため分担者各自がそれぞれの対象国・地域等で分担役割に沿った調査研究を既に実施していることに加えて、その研究成果の班内、そして他班や海外研究者との共有や比較検討などに関しても国内でのシンポジウム、領域会議等を通じて実施することができている。 とくに計画班A01-P02とは各種の研究会合、ワークショップ等に互いに人員を参加させて研究交流と成果の共有を図ることができた。 また本計画班では平成30年11月に東京外国語大学で実施したシンポジウムにおいて、とくに「トランスカルチャー状況」の定義を含む文化の概念などを中心テーマとする特別セッションを設けるなどの方策を通じて領域全体の研究枠組みにも寄与することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目に当たる平成31年度には、前年までと同様に分担者・連携研究者による対象各国における臨地調査を継続することに加えて、調査成果の中間取り纏めのために、本研究の主題に関係する外国人研究者を招聘した国際シンポジウムを実施し、成果論集のための準備作業に着手する。 臨地調査に関しては、床呂はフィリピンなどにおけるムスリム・コミュニティにおける顔身体の表象と意味づけ等に関して、域内におけるキリスト教徒との比較調査を実施する。塩谷はインドネシア・ジャカルタ特別州において調査を実施する。インドネシア国立図書館において、歴史的な文脈を調べるため、服飾に関する文献調査を行なう。同時に、デザイナーなど、作り手と販売者に焦点をあてた調査も実施する。また、ムスリム・ファッションの販売促進フェア、ファッションショーなどもあわせて調査する。西井は前年に続きタイの北部のイスラーム復興運動がさかんな地域において、前年度と同じく夏期休暇中に調査を行う。吉田はバリ島における仮面芸能に関する参与観察調査を実施し、仮面装着によって顔が隠れ、また新たな顔を獲得する演者の経験の特徴について明らかにする。また、バリ・ヒンドゥ教の教義における顔の位置づけを明らかにするため、演者や観客仮面職人などに加えて、僧侶や現地研究者のもとも訪れることを検討している。
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