2017 Fiscal Year Annual Research Report
comparative phenomenology of face and corporeal expression
Project Area | Construction of the Face-Body studies in transcultural conditions |
Project/Area Number |
17H06346
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小手川 正二郎 國學院大學, 文学部, 准教授 (30728142)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 比較現象学 / 身体 / 顔 / 身体運動 / 間合い / 仮面 / 哲学カフェ |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は採択結果が6月に出て、実際に研究に従事できるようになったのが7月からのため、実質的に半期程度の活動となったが、以下の研究を実施できた。 1、領域会議への参加と領域内での研究計画のすり合わせと交流:9月11日のキックオフシンポジウム、12月1日の第1回領域会議において本計画班の目的と5年間の計画、基本的な理論を発表し、領域内で共有した。また12月2日の第2回公開シンポジウムでは、比較現象学の立場を打ち出し、領域全体をどのように哲学的に統括していくかについて論じた。3月初頭では、バリ島ワークショップで、本計画班から菊竹智之氏と赤坂辰太郎氏に口頭発表してもらい、バリ舞踊やガムランの研究者たちと議論を展開できた。 2、自主シンポジウム:3月13日、14日、16日にフランスの現象学的身体論の第一人者、B・アンドリュー氏(パリ第5大学)、A・ルジェンドル氏を招聘して、講演会とシンポジウム「間とあいだの比較現象学」を実施した。全体で12名の発表者による15回の口頭発表が行われ、参加者は延べ60名ほどであった。日仏米の比較から、時間的でありかつ空間的で、質的でもある「ま、あいだ、あわい」をめぐって、その記述方法や生活世界における意味について議論がなされた。 3、顔身体カフェ:12月23日の代官山クラブヒルサイドサロンにて、領域代表の山口氏を講師に招き、第1回顔身体カフェを、本領域のアウトリーチ活動のサイエンスカフェとして行った。参加者60名。第二回は、金沢21世紀美術館の協力で1月20-21日に美術館のレアンドロ・エルリッヒの展示を開設した後に、アートと身体性をテーマとした哲学対話を行った。参加者40名。 4、比較現象学のためのアプリケーションの開発:本研究での現象学を遂行するための映像分析アプリケーションを開発した。特許の申請を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度は採択結果が6月に出て、実際に研究に従事できるようになったのが7月からのため、実質的に半期程度の活動となったが、「領域会議への参加と領域内での研究計画のすり合わせと交流」「自主シンポジウム」「顔身体カフェ」「比較現象学のためのアプリケーションの開発」と予定していたことにはすべて着手できた。
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Strategy for Future Research Activity |
30年度は、いよいよ研究を本格化して、領域全体と連携しつつ、以下の三つの研究を行っていく予定である。 1)顔身体学の現象学的理論化: 新学術領域「顔身体学」の理論的な基盤を、現象学的に整理しながら、領域の各分野を位置付けて体系化する作業を行う。 2)比較現象学という方法論の確立: 国内外の多様な地域から講演者を招集し、顔身体運動に見られる表現の文化社会的な側面に関して共同研究発表と情報交換を行う。8月末にはAlia Al-Saji 氏 (McGill University)氏とHelen Ngo氏 (Deakin University)氏を国内に招致して、顔身体の人種性に関して現象学的記述に関する自主シンポジウムを実施する。11月の日本現象学会大会では、Shaun Gallagher氏、Daniel Hutto氏などと共同してシンポジウム(又はワークショップ)を実施する。 3)身体加工の比較現象学の構築: 8月北京にて開催される世界哲学大会にて、Al-Saji 氏、Helen Ngo氏、Eric Chelstrom氏 (St. Mary's University)を招致して「人種の現象学」というワークショップを主催する。また化粧や整形による身体意識の変化とその社会的評価との関連性について、化粧学や文化人類学との共同研究を通じて進めていく。 さらに領域全体のアウトリーチ活動として、「顔身体カフェ」を開催し、市民と研究者がフラットな関係で議論できる場を3回程度設けるつもりである。
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Research Products
(28 results)