2017 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトクリスタルの熱機械的評価手法ならびに制御手法の開拓
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
17H06368
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
高見澤 聡 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (90336587)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 超弾性 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学にとって新しい固体物性である超弾性(応力誘起結晶相転移)の観点からソフトクリスタルの熱機械的特 性の評価並びに機械的な光特性操作法の開拓を行う。 有機超弾性概念の導入によるソフトクリスタル研究への 貢献を目指す。 申請者は有機物による超弾性挙動(有機超弾性)を2014 年に世界で初めて示した。また、蒸気吸着による擬 弾性的な結晶変態を示す超弾性多孔性金属錯体結晶を見出し、結晶変態に関わるクロミズム現象の確認にも成功 している。 現時点において、既に申請者は様々なタイプの有機結晶で超弾性を見出だし、かつミクロ構造変化と結晶相変態との相関について、超弾性の観点から解析する実験手法の確立に成功している。 本研究では、A01 班の役割である微量の蒸気・熱・機械的刺激などの低刺激に応答するソフトクリスタル及び構成分子の形態制御を担当とし、有機超弾性研究の観点からソフトクリスタルの形態制御研究促進に貢献しつつ、本領域での超弾性概念の学理的意義を明瞭にし、化学にとって新しい固体物性要素である超弾性(応力誘起結晶相転移の一形態)の観点からソフトクリスタルの熱機械的特性の評価ならびに機械的な光特性操作法の開拓を目標に研究を進めている。 本年度は実験環境を整備し、確実かつ効率的に超弾性実験を行えるようにした。特に、有機超弾性結晶の創製および手法の開拓・先行研究で得ている有機結晶ならびに金属錯体結晶の誘導体合成を行い、物質拡張を行いつつ、結晶成長手法として、融解結晶化法や昇華法の導入を検討し、結晶サイズ・晶癖をもつ結晶試料の創出に適切な実験手法の開拓を行った。また、超弾性評価手法の深化発展・既に独自に確立している顕微鏡観察下での応力試験手法による研究を行いつつ、応力誘起相転移の前駆現象と考えられる結晶構造揺らぎと相関する超弾性特性について調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象である有機超弾性に加え、相関性の高い結晶形状変性として有機強弾性現象の確認に成功した。これにより、本研究で対象とする物質範囲や結晶状態ないしは変形挙動について総合的に研究しうる状況に至った。本研究の究極目的である学理深化に対して、実験・理論の両輪で臨める下地が醸成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
有機超弾性に加えて初年度に獲得した有機強弾性の実験手法ならびに現象理解の指針を用いて、超弾性を深化させると同時に、光学的機能を有する有機結晶群への学術展開を進めていく。
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