2018 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素-ケイ素結合の特性を利用した外部応答性ソフトクリスタルの開発
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
17H06369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20342636)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | ジシラン / SHG / 発光 / サーモサリエント |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では環状分子(ジシラン架橋マクロサイクル)の検討を行った。ここでは4量体を検討し、分子構造はX線結晶構造解析によって決定した。まず、塩化メチレン-トルエン溶液からゆっくり蒸発させると、alpha型の単結晶が得られた。また、この単結晶を77 Kに冷却すると、別の結晶形beta型が発現した。両者はほぼ同じ構造を取っており、Si-Si結合を介して4つのp-フェニレン基がsynとanti交互に環状配置されたが含まれていた。これらの結晶では、分子間pi-piスタッキングは見られず、a軸に沿ってCH-pi相互作用にてカラム状配列を形成していた。大きく異なる点はSi-Si-piの二面角であり、この変化が後で示す結晶ジャンプ現象に大きく影響する。 alphaの単結晶は冷却すると(010)または(001)面に沿った亀裂を伴い、betaへの結晶相転移を起こす。目視による観察から130°C 近傍で結晶が急に開裂し、ジャンプする現象が見られる。X線構造解析の考察から、上記二面角とそれに伴うカラム間の相互作用(分子間距離)の変化により、b軸またはc軸方向に亀裂が起こる。これが結晶ジャンプ挙動の駆動力と考えられる。 VT-PXRD測定を行ったところ、alphaとbetaの相転移が130°C ~150°C付近で可逆に観測された。DSC測定を行ったところ130°C付近に結晶相転移由来のピークが観測された。目視観察の結果と一致する。遷移エンタルピーは、DSCチャートの内外の両方の熱ピークから約300 cal/molとして計算された。非常に小さい遷移エンタルピーは、微弱な構造変化を伴う結晶相転移の結果と矛盾はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする弱い外部刺激に応答する分子の合成に成功している。特に大環状マクロサイクルでいくつかの新現象が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
環状マクロサイクルは現状では発光効率が20%程度とそれほど高くない。置換基の種類を変更することで、光機能の向上を目指す。
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Research Products
(11 results)