2019 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素-ケイ素結合の特性を利用した外部応答性ソフトクリスタルの開発
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
17H06369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20342636)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | ケイ素 / ジシラン / SHG / 外部刺激応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
芳香族ジシラン類はケイ素-ケイ素結合の柔軟性とシグマ-パイ共役による共役鎖の拡張により微弱な外部刺激で構造と物性が連動変化すると予測される。昨年度は環状芳香族ジシラン・オリゴシラン類を合成し、温度変化による環伸縮に基づくサーモサリエント現象(結晶ジャンプ現象)を報告した。本年度は、直鎖状芳香族ジシランの外部刺激による構造と光物性の変化及び理論的考察に関する研究を行った。 具体的には、直鎖状芳香族ジシラン化合物である1,1,2,2,2-テトラメチル-1-(4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル)-2-(2’-シアノフェニル)ジシランを合成し、非中心対称結晶(Cc)と中心対称結晶(P21/c)を結晶化条件により選択的に調製した。それぞれの結晶パッキング構造は単結晶X線構造解析により明らかにした。 次に具体的な外部刺激応答性について検討を行った。SHG非活性結晶をメタノール蒸気に暴露すると数日でSHG活性結晶へ変化した。また、SHG活性結晶または非活性結晶を融解し(融点:52~53 ℃)、-30 ℃で静置するとSHG非活性結晶へ、メタノール蒸気下で室温中静置するとSHG活性結晶がそれぞれ得られた。コンフレックスによる2つの結晶形の格子エネルギーの計算値が接近していることが分かった。この事が、微弱な外部刺激で両者を可逆的に変換することができ、第二次高調波発生(SHG)強度を制御できた要因である。微弱刺激による構造変化の確認は粉末及び単結晶X線構造解析や固体状態のNMR測定にて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで難しいとされていた直鎖状芳香族ジシランの微弱刺激による構造-物性連動変化について成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
直鎖状芳香族ジシランに更に柔軟な置換基を導入し、より弱い刺激で物性変化を誘起させることを目標にする。
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Research Products
(6 results)