2020 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素-ケイ素結合の特性を利用した外部応答性ソフトクリスタルの開発
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
17H06369
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山野井 慶徳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (20342636)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | ジシラン / 相転移 / サーモサリエント現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
2量体、3量体、4量体のジシラン架橋マクロサイクル順に構造柔軟性が向上し、弱い外部刺激にてコンフォメーションが容易に変化すると予想される。本年度は芳香環部位をベンゼン環とした3量体、4量体のマクロサイクルについて合成とその結晶の外部刺激による相転移挙動を検討した。1,1,2,2-テトラメチル-1,2-ビス(4-(1,1,2,2-テトラメチルジシラニル)フェニル)ジシランを出発原料とし、芳香族ヨウ化物とのカップリング反応にて3量体、4量体のマクロサイクルを純粋な形で単離した。 まずは3量体の方はメタノールから再結晶すると単結晶が得られた。この結晶は近紫外領域で固体蛍光特性を示すものの(波長: 362 nm, 効率: 0.26)、柔軟性に欠け外部刺激による結晶の構造変化は起こらなかった。 次に4量体の方は、メタノール-塩化メチレンから再結晶をするとねじれ型結晶、トルエンから再結晶をするといす型結晶が得られた。これらの結晶も近紫外領域で固体蛍光特性を示した(いす型、波長: 372 nm, 効率: 0.42、ねじれ型、波長: 372 nm, 効率: 0.26)。また、このいす型結晶を冷却していくと、新たな相へと相転移することが確認された。温度可変粉末X線回折とリートベルト解析の結果からいす型結晶が押しつぶされた構造になっていることが分かった。具体的には対角線長のアスペクト比が1.13から1.20、Si-Siと芳香環の二面角がca. 4.5から7.5°変化した。示差走査熱量測定(DSC)からも約130 °C付近で可逆的に相転移することが分かった。この温度変化に伴い、サーモサリエント現象(結晶が温度変化によってジャンプする現象)が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、順調に外部刺激に応答する芳香族ジシラン化合物を創製している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は環構造を拡大することなどを通し柔軟性の高い芳香族ジシラン分子の創製を試みる。
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