2019 Fiscal Year Annual Research Report
X線分子動画撮影法を用いたソフトクリスタルにおける外場応答過程の観測
Project Area | Soft Crystals: Science and Photofunctions of Easy-Responsive Systems with Felxibility and Higher-Ordering |
Project/Area Number |
17H06372
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 文菜 自治医科大学, 医学部, 講師 (50717709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 恵紀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 特任准教授 (20443559)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / X線吸収分光 / ベイポクロミズム / ルミノクロミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに開始した複数の領域内共同研究、および、今年度新たに開始した共同研究について、ソフトクリスタル群への外場印加下でのX線結晶構造解析、及びX線吸収分光測定の適用を推進した。 昨年から継続している、超弾性結晶に関するA01-02班との共同研究では、放射光X線を用いた結晶構造解析と、実験室系のX線源を用いたX線結晶構造解析を相補的に利用して、超弾性結晶の母相と娘相の生成起源を考察した(S. Sakamoto et al., Angew. Chem. Int. Ed. 58, 13722-13726, 2019)。また、分子内一重項分裂を起こし、長寿命の励起子を生成するテトラセン系分子に関して、今後の光照射結晶構造解析実験に向け、まずは基底状態での結晶構造を決定した(Y. Matsui et al., J. Phys. Chem. 123, 18813-18823, 2019)。A01-01班との共同研究であるベイポクロミズムPt錯体に関する系では、多孔性材料メソポーラスシリカ中でのPt配位環境を決定した(H. Matsukawa et al., Sci. Rep. 9, 15151, 2019)。A02-02班、公募班との共同研究では、化学発光を起こす系について、粉末回折パターンの経時変化を観測した(C. Matsuhashi et al., Chem. Comm. 56, 3369-3372, 2020)。さらに、光照射をトリガとした生体高分子内での低分子輸送、および分子内の局所構造変形の観測に成功した(N. Shibayama et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 117, 4741-4748, 2020)。また、国際会議、国内会議での成果発表はそれぞれ7件、および14件行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソフトクリスタルと呼ばれる新規機能性物質群の多くは有機低分子結晶や金属錯体結晶であるが、従来の強固な単結晶群とは性質が異なり、光、機械刺激、蒸気等の微小な外場によって結晶相転移や発光特性変化等を示すことが知られている。さらに、同一の分子からなる結晶でも、結晶多形による発光色の変化や、機械刺激に対する異なる応答など、その複雑な機序はまだ解明されていない。本研究の目的はソフトクリスタルの相転移過程における構造、及び電子状態の変化をX線分子動画撮影法によって可視化し、ソフトクリスタルの機能由来について指針を与えることである。 本年度まで、領域内外のグループとの複数の共同研究について、ソフトクリスタル群への外場印加下でのX線結晶構造解析、及びX線吸収分光測定の適用を推進してきた。本研究では、継続的なマシンタイムの確保が不可欠であるため、高エネルギー加速器研究機構の放射光科学研究施設Photon Factory(PF)における長期優先課題であるS2課題を利用し、放射光実験を実施した。 これまでに、超弾性結晶、長寿命発光結晶、ベイポクロミズム錯体、化学発光分子、生体高分子について、放射光を用いたX線プローブ実験の論文を公開することができ、国内外での学会発表も数多く行った。また、Photon Factory Advanced Ring(PF-AR)のビームラインNW12Aにおける新たなポンプープローブ実験系の立ち上げも順調であり、計画はおおむね予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降も、引き続き領域内外のグループとの共同研究を進めていく予定である。現在、光照射下での結晶構造解析において、差フーリエ電子マップによる微小構造変化の抽出を試みており、これらの系での論文執筆を目指している。加えて、励起子の寿命が短い系では、ポンプ-プローブ実験による、構造変化のリアルタイム測定を実施する予定である。また、結晶構造解析が難しい系においては、反射点強度のダイナミクス計測などから、ソフトクリスタルの挙動を解析するような、新たな手法を取り入れることも視野に入れているところである。外場として与える摂動についても、光照射だけでなく、電場印加や機械刺激の付与等についても実験設備を整え、共同研究を推進していく予定である。それらの研究成果を論文にまとめ、国内外の学会での成果発表も行っていく。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] X-ray fluorescence holography for soft matter2019
Author(s)
Ang Artoni Kevin Roquero、Sato-Tomita Ayana、Shibayama Naoya、Umena Yasufumi、Happo Naohisa、Marumi Riho、Kimura Koji、Matsushita Tomohiro、AKAGI Kazuto、Sasaki Takahiko、Sasaki Yuji C.、Hayashi Kouichi
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Journal Title
Japanese Journal of Applied Physics
Volume: 59
Pages: 010505
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Site-Selective X-ray Fluorescence Holography using a Hybrid 2D X-ray Detector2019
Author(s)
Artoni Kevin R. Ang, Tomohiro Matsushita, Naohisa Happo, Masaki Mizuguchi, Ayana Sato-Tomita, Naoya Shibayama, Yasufumi Umena, Yuji C. Sasaki, Koji Kimura, Hiroshi Daimon, and Kouichi Hayashi
Organizer
ACSIN14&ICSPM26
Int'l Joint Research
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