2019 Fiscal Year Annual Research Report
Evolvability and mechanism of insect-microbe association
Project Area | Evolutionary theory for constrained and directional diversities |
Project/Area Number |
17H06388
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
深津 武馬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 首席研究員 (00357881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 隆一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (80356972)
重信 秀治 基礎生物学研究所, 新規モデル生物開発センター, 教授 (30399555)
細川 貴弘 九州大学, 理学研究院, 助教 (80722206)
二河 成男 放送大学, 教養学部, 教授 (70364916)
西出 雄大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 主任研究員 (50558096)
松浦 優 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (80723824)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 共生 / 微生物 / 昆虫 / 進化可能性 |
Outline of Annual Research Achievements |
・共生可能細菌群の探索、分離、解析:共生細菌除去幼虫を日本各地の土壌試料に曝露、スクリーニングすることで、環境中の共生可能細菌群を網羅的に探索、分離、同定した。中でも特異な共生細菌叢を呈することが示唆された宮古島その他の南西諸島で重点的に調査を実施した。 ・日本各地の土壌中の培養可能共生細菌/潜在的共生細菌のNGS群集解析:つくば、福岡、沖縄島、札幌、京都、与那国島、松山、徳之島、宮古島、久米島など全12カ所の土壌サンプルからDNA抽出し、16S rDNAのv1-v2領域とv3-v4領域の2か所の塩基配列を独立に解析したところ、環境土壌中の培養可能共生細菌/潜在的共生細菌の存在比は極めて低い(10^-5のオーダー)ことが判明した。 ・共生細菌の大規模比較ゲノム解析:チャバネアオカメムシ共生細菌および近縁細菌62系統のゲノム配列決定および比較ゲノム解析を行い、培養可能共生細菌や潜在的共生細菌ではゲノムシンテニーがよく保たれていることが示された。 ・宿主昆虫共生器官の形成過程および機構の解析:チャバネアオカメムシの発生過程における中腸共生器官の形態形成および発達、そして共生細菌の感染過程、個体群動態、局在推移などについて徹底的な記載を実施し、細胞骨格系による盲嚢パターン形成、細胞死や細胞分裂の関与などの新知見を見出した。 ・共生可能細菌の実験進化学的解析:共生可能細菌に感染させた昆虫系統を飼育維持し、適応度の高い個体を選抜して体内細菌を次世代に感染させることを継続的に繰り返して進化実験をおこなうための検討を継続して遂行した。また、その他の研究成果として、キンカメムシ類における腸内共生細菌の進化と多様化の解明;カメムシ類における中腸共生器官の形態形成過程;ナガカメムシ類における内部共生系の多様性の解明;などを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
従来の共生研究はすでに高度に確立された共生関係を対象としてきたが、近年の研究により環境中に特定の宿主生物(例えば半翅目昆虫のカメムシ類など)に潜在的な共生能力を有する自由生活性細菌が普遍的に存在することがわかってきた。本計画研究では、このような「潜在的共生細菌」の全貌を把握するとともに、既知の「必須共生細菌」や「任意共生細菌」と比較解析することにより、共生進化の条件や可能性、さらに共生進化を促進する要因や制約する機構をさぐり、共生進化ダイナミクスの本質的な理解をめざしている。本年度は、共生可能細菌群の探索、分離、解析;培養可能共生細菌/潜在的共生細菌のNGS群集解析;共生細菌の大規模比較ゲノム解析;宿主昆虫共生器官の形成過程および機構の解析;その他の成果が得られており、研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画も後半に入り、着実に研究を進めるとともに、積極的な成果発表を目指す。共生可能性進化実験モデルの探索および確立、共生可能細菌群の探索、分離、解析、共生能力に関わる分子機構の解析、共生能力と共生関連表現型の相関進化解析、共生可能細菌の実験進化学的解析といった全ての研究要素について、研究成果をまとめて順次論文発表に持っていく。
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Research Products
(27 results)