2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism and processe of stenoocclusive vascular diseases caused by RNF213 mutation in inflammatory cellular society
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
17H06397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 昭夫 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (50124574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
S Youssefian 京都大学, 医学研究科, 教授 (00210576)
手塚 徹 京都大学, スーパーグローバルコース医学生命系ユニット, 特定講師 (50312319)
土生 敏行 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (70346071)
小林 果 三重大学, 医学系研究科, 講師 (70542091)
原田 浩二 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80452340)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | RNF213 / Apoptosis / R4810K / 細胞分裂 / ER stress / ウイルス抗体の保有状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
もやもや病は、ウイリス動脈輪近傍動脈を必発として、全身の動脈にも頻繁に閉塞性病変が認められる動脈疾患である。RNF213は、動脈閉塞性疾患に関わる遺伝子であり、R4810K変異は、もやもや病の感受性要因となるが、環境因子および分子レベルでの病理メカニズムは不明である。本研究では、未病から発病に至る環境要因として免疫系要因に着目し疫学研究に着手した。また、E3 ligaseに関わるUbiquitin化シグナル経路での変動に注目し、血管閉塞に関わるRNF213シグナル系の解明、 細胞死Apoptosisに至る細胞分裂におけるRNF213の役割、Apoptosis を引き起こすER stress Signal系および免疫系の攪乱因子であるウイルス及び腸内細菌との関連を解明の4課題を通じ攪乱の解明を目指した。 ①血管閉塞に関わるRNF213シグナル系の解明: RNF213欠損細胞などを用い、受容体型チロシンキナーゼ系や脂質シグナル系、炎症シグナル系がRNF213により制御されることを見出した。また、ユビキチン化標的因子を同定し、K63型であることを見出した。 ②Apoptosisに至る細胞分裂の異常の解明: Live Imaging機器を用い、分裂期観察を行った。KI細胞ではmitosisの時間的な遅延異常を示し、分裂期後期での形態的な違いを見出すことができた。さらにMAD2の動原体局在に大きな変化が見出され、分裂期中期での動原体局在以外で中心体での顕著な蓄積が観察された。 ③ER stressシグナル系とRNF213:また雌Akitaマウスにおいては、雄Akitaマウスと異なり、Rnf213 KOは糖尿病が改善しないことを明らかにし、エストロゲンシグナル等の関与が示唆された。 ④免疫系の攪乱因子の疫学研究:患者血液113検体、対照血液67検体を用いて、10種の血管障害性ウイルス感染の抗体価をELISAで測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
未病から発病に至る過程において発病へ誘導する環境要因に念頭に、①血管閉塞に関わるRNF213シグナル系の解明、②細胞死Apoptosisに至る細胞分裂における役割、③Apoptosis を引き起こすER stress Signal系のかく乱、④免疫系の攪乱因子である感染症及び腸内細菌との関連を解明を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果を踏まえ以下を進める。 ①血管閉塞に関わるRNF213シグナル系の解明:昨年度までに同定したRNF213シグナル系やRNF213のユビキチン化標的因子について、RNF213欠損細胞へのレスキュー実験などによりRNF213のもやもや病患者変異が当該シグナルに及ぼす影響やその作用機序を解析すると共に、これらの分子機構が血管内皮細胞の機能や恒常性に及ぼす影響や血管閉塞疾患への関連を検討する。 ②Apoptosisに至る細胞分裂の異常の解明:昨年度の研究により、分裂期での染色体分配との関連性が示唆され、これをさらに確認するためには、細胞骨格(アクチン、チューブリン)の可視化や細胞分裂マーカーの検討が重要であることが分かった。そこで、細胞分裂期の分裂異常を示す表現型を分子レベルで解明するために、アクチンやチューブリンの分裂期装置との関連性、MAD2タンパク質の中心体への蓄積を示す要因を細胞骨格の視点より、細胞の極性や運動性と絡めながら解析してく予定である。 ③ER stressシグナル系とRNF213:Rnf213 KO/変異Ins2 Tg MEFを用いてERストレス関連分子、特にエストロゲンによる制御を受けてERADを調節するSEL1L/HRD1経路に着目してRnf213 KOの影響を検討する。またRnf213/KOの血糖を修飾する可能性のある因子として、肝グリコーゲン貯蔵についてもマウスでの検討を行う。 ④免疫系の攪乱因子の疫学研究:免疫系シグナルの修飾因子としてのウイルス感染、腸内細菌叢の役割: 患者・対照血液を用いた種々のウイルス感染の既往について、差のあった抗体価について新たな患者検体を用いて検証する。また、患者の糞便の16S rRNA解析によりヒト腸内細菌叢の解析に続いて、対照群の糞便の採取解析を行い、もやもや病に関連する細菌群を評価する。
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