2019 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジーを用いた炎症性疾患に対する分子標的予防研究
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
17H06398
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20186993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 芳弘 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (10541956)
飯泉 陽介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20533178)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | SASP / スクリーニング / ケミカルバイオロジー / NK細胞 / がん予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規SASP阻害化合物の探索のため、スクリーニング系を立ち上げた。ELISAによって、SASP因子の一つであるIL-6の分泌抑制効果を指標とした。その結果、ヒット化合物として化合物A、Bを見出した。さらにqRT-PCRを用いてSASP因子であるIL-6、IL-8、CCL20の産生抑制能を確認したところ、化合物Aのみ活性が認められた。この化合物Aに対して検証を続け、NFκB活性抑制効果やp38のタンパク質の減少効果が認められている。さらに、自動分注機を導入し多検体スクリーニングの系を構築した。新たな化合物ライブラリーを用い、第二弾のスクリーニングを開始している。 また、文献上、SASP阻害効果が報告されているものの、その詳細な機序が不明な化合物Cに着目した。それらの情報は、今後の新規SASP阻害化合物の探索においても重要な情報であることから、本研究では、平行してケミカルバイオロジーの手法を用いた検証を行った。その結果、化合物Cに対する複数の結合タンパク質の同定に成功した。siRNA等を用いるなど、詳細な検討を重ねたが、現在までにSASPとの関連を確認には至っていない。 SASPを起こした細胞がNK細胞により攻撃・排除されることから、NK細胞を活性化する物質も探索した。転写因子T-betがNK細胞の機能成熟化に重要であることに着目し、T-bet特異的ルシフェラーゼレポーター細胞を創出した。このレポーター細胞を用いたスクリーニングを行い、T-betを活性化する生薬エキス3種類、阻害剤2種類を見出した。生薬エキスについてはT-bet活性化に関わる活性成分の探索を行った。また、Immunomodulatory Drug (IMiD)として知られているThalidomideが末梢組織のNK細胞のT-bet発現と機能成熟化を誘導し、抗転移効果を示すことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト線維芽細胞に細胞老化及びSASPを誘導する系を用いたスクリーニングにより、新規SASP阻害天然物Aを見出した。ヒット化合物Aの作用機序を解析することで、NFkB活性の抑制やp38経路の制御が示唆された。また、自動分注機を用いたスクリーニングの系を構築したことで、一度により多数の薬剤を対象としたスクリーニングを実施することを可能とした。また、SASPを阻害するという報告のある化合物Cに対して、ケミカルバイオロジーの手法を用いて結合タンパク質を複数同定した。これらの結合タンパク質とSASPについて、siRNA等を用いて詳細な検討を重ねたものの、SASP制御への関与は確認できなかった。 SASPを起こした細胞は活性化NK細胞により積極的に攻撃・排除されることから、NK細胞を活性化することでSASPを阻害する物質も、食品成分、和漢薬に含まれる成分、既存医薬品ライブラリーをスクリーニングした。NK細胞の分化・成熟化に重要な転写因子T-betの活性化を測定できるレポーター細胞を樹立し、このレポーター細胞株を用いたスクリーニングによって、T-bet活性化能を示す天然物エキス、ならびに認可済み薬剤から候補化合物を同定した。また天然物エキスにおいてはT-bet活性化に関わる成分解析を行い、数種類の候補化合物を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのスクリーニングにより発見しているヒット化合物AによるSASP阻害機序の解析を進める。具体的には、NFκBの活性抑制やp38経路の制御がSASP阻害とどのように関連しているのか、western blotなどの生物学的手法を用いて引き続き検証していく。 SASP阻害剤の結合タンパク質を同定するというアプローチにて、新規SASP制御機構の解明を目指す。昨年度の検証結果から、化合物Cに代わる、別のSASP阻害剤を既報から選択し、ケミカルバイオロジーの手法を用いて検証する。 自動分注機を用いた新規のSASP阻害剤スクリーニングも継続して実施する。その結果、得られたヒット化合物を対象に、SASP阻害機序の解析や結合タンパク質の同定試験を行う。 これまでにT-betレポーター細胞を用いたスクリーニングによって、T-bet活性化能を示す天然物エキス、ならびに認可済み薬剤から候補化合物を同定している。天然物エキスにおいてはT-bet活性化に関わる成分解析を行い、候補化合物の同定を進める。さらに、これら天然物エキス由来のT-bet活性化に関わる活性成分のin vivoにおけるNK細胞活性化、ならびにT-bet活性化機序の解析を進める。認可済み薬剤ライブラリからヒットした2種類の化合物について、NK細胞活性化機序の解析とin vivoにおける薬効を検証し、ドラッグリポジショニングのための基礎データを得る。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] Histone deacetylase inhibitor OBP-801 and amrubicin synergistically inhibit the growth of squamous cell lung carcinoma by inducing mitochondrial ASK1-dependent apoptosis.2020
Author(s)
Chihara Y, Iizumi Y, Horinaka M, Watanabe M, Goi W, Morita M, Nishimoto E, Sowa Y, Yamada T, Takayama K, Sakai T.
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Journal Title
Int J Oncol.
Volume: 56
Pages: 848-856
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] ONO-7475, a novel AXL inhibitor, suppresses the adaptive resistance to initial EGFR-TKI treatment in EGFR-mutated non-small lung cancer.2020
Author(s)
Okura N, Nishioka N, Yamada T, Taniguchi H, Tanimura K, Katayama Y, Yoshimura A, Watanabe S, Kikuchi T, Shiotsu S, Kitazaki T, Nishiyama A, Iwasaku M, Kaneko Y, Uchino J, Uehara H, Horinaka M, Sakai T, Tanaka K, Kozaki R, Yano S, Takayama K.
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Journal Title
Clin Cancer Res.
Volume: 26
Pages: 2244-2256
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Macrophage-specific hypoxia-inducible factor-1α deletion suppresses the development of liver tumors in high-fat diet-fed obese and diabetic mice.2019
Author(s)
Takikawa A, Usui I, Fujisaka S, Tsuneyama K, Okabe K, Nakagawa T, Nawaz A, Kado T, Jojima T, Aso Y, Hayakawa Y, Yagi K, Tobe K.
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Journal Title
J Diabetes Investig.
Volume: 10
Pages: 1411-1418
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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