2017 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞シークエンスデータに基づく細胞社会学のための情報手法の開発とデータ解析
Project Area | Preventive medicine through inflammation cellular sociology |
Project/Area Number |
17H06399
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 准教授 (20249949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 日出海 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (30322754)
太田 聡史 国立研究開発法人理化学研究所, その他, 研究員 (30391890)
小倉 淳 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60465929)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞社会モデル / 単一細胞トランスクリプトーム解析 / データベース / 細胞系譜 / 細胞マーカー遺伝子 / クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症記憶の形成過程を細胞や分子レベルでの細胞間相互作用として解明するために、数千個の細胞からなる炎症組織の構成細胞について、定性的・定量的情報を「細胞状態変数」として収集蓄積、統合するために必要な手法の開発とそれを用いた実際のデータ解析を進めた。単一細胞プロファイルに基づく、「炎症の場」としての細胞社会の記述を可能とすることを目指し、相関する遺伝子について、相互作用の総体を炎症組織変化として記述するための方法論の検証と開発を進めた。また、必要な手法の確立と解析フローの構築のために、他の班と協力して上記のモデルから予測できる結果が得られるかを検討した。平成29年度は、(1)単一細胞トランスクリプトーム動態の解析・モデリングのための単一細胞遺伝子発現プロファイルデータ解析手法の確立と解析(2)細胞集団の動態モデルの構築に向けて、様々な情報学的手法とシミュレーションを用いたモデル構築のための手法のモデル構築へ応用、(3)各細胞状態に対応するマーカー遺伝子候補の抽出とそれらの機能情報に基づく炎症記憶形成における役割の推定と検証を進めるにあたって、特に基本となる数千細胞の大規模単一細胞トランスクリプトームデータの解析に必要な手法の開発と検証を進めた。さらに、将来の細胞社会学のためのスタンダードとしての解析パイプラインの構築、整備を進めるとともに、大規模データ解析の効率化に努めた。(1)に関しては、初期値依存性の問題を解消して安定的な特徴遺伝子の抽出とクラスター群の特定を行う手法の開発を進めた。(2)では、細胞集団の判別のために、配列上の変異を用いて細胞系譜を判定する手法の検討を開始した。(3)では、実際のデータを用いて、それぞれの細胞を特徴づけるマーカー遺伝子の抽出条件の検討を進めた。また、学習アルゴリズムによる細胞クラスタリング手法の研究にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおりに29年度の研究を進めた。当初計画における(1)単一細胞トランスクリプトーム動態の解析・モデリングのための単一細胞遺伝子発現プロファイルデータ解析手法の確立と解析では、従来の解析手法の検証と検討を進め、クラスタリングにおける初期値依存の問題を解消するための解析フローの設計と検証を進めた、(2)細胞集団の動態モデルの構築に向けて、様々な情報学的手法とシミュレーションを用いたモデル構築のための手法のモデル構築へ応用では、細胞社会モデル構築のための単一細胞トランスクリプトームデータにおける体細胞変異情報を利用した細胞系譜解析手法への利用の検討を開始した。(3)各細胞状態に対応するマーカー遺伝子候補の抽出とそれらの機能情報に基づく炎症記憶形成における役割の推定と検証に関しては、実データにおけるエラーもしくは未分類細胞の存在と判別のための手法の検討を進めた。また、細胞クラスタリングのために学習アルゴリズムに基づく手法の検討と条件検定を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症記憶に関するモデルおよび解析手法について、領域A01およびA02との連携の下で検証を進める。また、計画班を中心に、班会議および定期的な意見交換を通じて、必要な手法の取り込み、開発を進めるとともに、それらを用いて各研究グループより産出される実データの解析を支援して行く。 30年度より参加する公募研究の、モデル構築、画像およびデータベースグループと連携することにより、計画班を中心により総合的な細胞社会モデル構築に向けた手法の開発および実証を統合的に進めて行くことを目指すとともに、他研究グループのデータ解析の支援にも取り組んで行く。 加えて、領域外の研究グループとの交流を進め、必要となる新規技術や手法の取り組みを行い、より統合度の高いシステムの開発を目指して行く。
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