2019 Fiscal Year Annual Research Report
上皮細胞の極性輸送における細胞小器官内選別輸送ゾーンの有無とその意義
Project Area | Toward an integrative understanding of functional zones in organelles |
Project/Area Number |
17H06422
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 彰宏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40251441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 タロウ 大阪大学, 微生物病研究所, 寄附研究部門教授 (10153165)
西野 美都子 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30510440)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | ゴルジ体 / 糖転移酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
各種糖転移酵素のC末にtagをノックインした細胞株を作製し、各種糖転移酵素(XYLT2, NDST1など)のゴルジ体での局在を理化学研究所中野研究室の黒川先生との共同研究で観察した。異なる糖鎖を付加する酵素の局在が微小な領域(ゾーン)を形成し、異なる酵素のゾーンの局在がゴルジ体内で異なることを観察できた。また研究分担者の西野先生と電顕トモグラフィーで免疫電顕を行ったサンプルを用いて、ゾーンの大きさや分布を計測すべく、共同研究中である(詳細下記)。また、プロテオグリカン型糖鎖を付加されるモデルタンパク質を発現させてERから細胞膜までの輸送を追跡すると、このモデルタンパク質はゴルジ体において、糖鎖付加の初期に働く酵素のゾーンを通った後、後期に働く酵素のゾーンを通過することを観察した。さらに、これらの糖転移酵素の遺伝子のC末にAPEX2 cDNAをノックインした細胞株を作製し、その細胞株でbiotin化されるタンパク質を複数同定することに成功した。 分担者の木下はGPIアンカー型タンパク質であるDAFの前駆体に存在するGPI付加シグナル配列がGPIの生合成を上昇させる働きを持っていることを見出した。 分担者の西野は電顕トモグラフィー解析支援において原田の免疫電顕試料を解析した。これらの免疫電顕試料から切片を作成し、ゴルジ体領域の連続傾斜像を取得後、トモグラムを構築した。その結果、銀粒子クラスターがゴルジスタック内に明瞭に捉えられた。弘前大学の森田先生より提供された日本脳炎ウイルス感染Vero細胞の電子顕微鏡観察と電顕トモグラフィー解析支援を行い、野生型細胞、LNP KO細胞、TMEM43発現細胞を用い、ウイルス複製オルガネラ内の膜と、ウイルス複製オルガネラーミトコンドリアコンタクトサイトにどのような形態学変化が生じているか電顕トモグラフィーを用いて3次元的解析を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種糖転移酵素のC末にtag(c-mycなど)をノックインした細胞株を作製することが出来た。また、各種糖転移酵素のゴルジ体での局在を世界最高水準の光学顕微鏡で観察出来、異なる糖鎖を付加する酵素の局在がゾーンを形成し、それがゴルジ体内で異なることを証明できた。分担者の西野先生との電顕トモグラフィーの共同研究も順調に進んでおり、データを蓄積中である。糖転移酵素の基質タンパク質の輸送もゴルジ体において、糖鎖付加の初期に働く酵素のゾーンを通った後、後期に働く酵素のゾーンを通過することを観察することが出来た。さらにこれらの糖転移酵素の遺伝子のC末にAPEX2 cDNAをノックインした細胞株を作製し、その細胞株でbiotin化されるタンパク質を同定することに成功した。これらの研究、特に遺伝子へのノックインによるゾーンの局在やAPEXによるビオチン化タンパク質の同定は前例がないことからかなりのリスクを伴うにも関わらず、順調に進んだことは特筆に値する。分担者の木下はGPIアンカー型タンパク質であるDAFの前駆体に存在するGPI付加シグナル配列がGPIの生合成を上昇させる働きを持っていることを見出した。 分担者の西野は電顕トモグラフィー解析支援において原田の免疫電顕試料を解析した。これらの免疫電顕試料から切片を作成し、ゴルジ体領域の連続傾斜像を取得後、トモグラムを構築した。その結果、銀粒子クラスターがゴルジスタック内に明瞭に捉えられた。免疫電顕のトモグラフィーでは過去に例が少なく、条件検討など困難な状況にも関わらず、3次元構築が成功したことは立派な成果と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
各種糖転移酵素のC末にtagを2種類以上ノックインした細胞株を作製し、各種糖転移酵素のゴルジ体での局在の違いを理研中野研究室の黒川先生との共同研究で観察する。また、プロテオグリカン以外の糖鎖(O型、N型糖鎖)を付加されるモデルタンパク質を発現させてERから細胞膜までの輸送を追跡し、ゴルジ体においてこれらがどのゾーンを通過するかを観察する。様々な糖転移酵素の遺伝子のC末にAPEX2 cDNAをノックインした細胞株を作製し、その細胞株でbiotin化されるタンパク質を同定すると共にそれらの遺伝子をノックダウン、ノックアウトし、糖転移酵素の局在や糖鎖修飾に変化が生じるか観察する。 分担者の西野先生と電顕トモグラフィーでゾーンの大きさや分布を計測する。 分担者の西野は弘前大学の森田先生より提供された日本脳炎ウイルス感染Vero細胞の野生型(WT)細胞、LNP KO細胞、TMEM43発現細胞を用い、ウイルス複製オルガネラ内のコンボリューティッド膜と、ウイルス複製オルガネラーミトコンドリアコンタクトサイトにどのような形態学変化が生じているか検討し、生じている可能性が示唆される領域について、電顕トモグラフィーを用いて引き続き3次元的解析を行う。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] The activity of Sac1 across ER-TGN contact sites requires the four-phosphate-adaptor-protein-1.2019
Author(s)
Venditti R, Masone MC, Rega LR, Di Tullio G, Santoro M, Polishchuk E, Serrano IC, Olkkonen VM, Harada A, Medina DL, La Montagna R, De Matteis MA.
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Journal Title
J Cell Biol
Volume: 218
Pages: 783-797
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Complement and inflammasome overactivation mediates paroxysmal nocturnal hemoglobinuria with autoinflammation2019
Author(s)
B Hochsmann, Y Murakami, M Osato, A Knaus, M Kawamoto, N Inoue, T Hirata, S Murata, M Anliker, T Eggermann, M Jager, R Floettmann, A Hollein, S Murase, Y Ueda, J Nishimura, Y Kanakura, N Kohara, H Schrezenmeier, P M Krawitz, T Kinoshita
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Journal Title
J Clin Invest
Volume: 129
Pages: 5123-5136.
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Cerebellar neurodegeneration and neuronal circuit remodeling in Golgi pH regulator-deficient mice.2019
Author(s)
Sou, Y-S, S. Kakuta, Y. Kamikubo, K. Niisato, T. Sakurai, L. K. Parajuli, I. Tanida, H. Saito, N. Suzuki, K. Sakimura, Y. Maeda, T. Kinoshita, Y. Uchiyama and M. Koike.
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Journal Title
eNeuro
Volume: 6
Pages: e0427-18
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Mutations in PIGU impair the function of the GPI transamidase complex causing severe intellectual disability, epilepsy and brain anomalies.2019
Author(s)
Knaus, A., F. Kortom, T. Kleefstra, A. Stray-Pedersen, Y. Murakami, T. Gerstner, H. van Bokhoven, Z. Iqbal, D. Horn, T. Kinoshita, M. Hempel and P, M. Krawitz.
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Journal Title
Am. J. Hum. Genet.
Volume: 105
Pages: 395-402
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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