2018 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能・時間分解構造解析による水分解反応の機構解明
| Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
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| Project/Area Number |
17H06434
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| Research Institution | Okayama University |
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Principal Investigator |
沈 建仁 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (60261161)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 信夫 大阪市立大学, 複合先端研究機構, 教授 (60152865)
山口 兆 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (80029537)
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| Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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| Keywords | 光合成 / 水分解反応 / 酸素発生反応 / X線結晶構造解析 / X線自由電子レーザー / 時間分解構造解析 / 理論計算 / 密度行列繰り込み群法(DMRG) |
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| Outline of Annual Research Achievements |
フェムト秒のX線自由電子レーザー(XFEL)を用いたポンプープローブシリアルフェムト秒結晶構造解析法により、光化学系II (PSII) 微結晶について2閃光照射後の遅延時間がナノ秒からマイクロ秒にわたる複数の時点でX線回折データを収集し、構造解析を行った。その結果、光誘導による電子伝達・プロトン移動に伴うPSIIの構造変化を捕えた。また、暗条件で得られたPSIIの結晶について、同型性の高い試料を多数調製する脱水・クライオ処理条件を確立し、0.1 MGy以下の低X線照射量で回折強度を測定することで、X線によるMnの還元を回避した。その条件下で複数セットのX線回折データを収集し、構造解析を行った結果、結合距離誤差の見積もりを0.05 A 以下まで低減させたMn4CaO5クラスターの精密構造を得ることに成功し、従来より信頼度の高い構造学的知見を得ることができた。
これまで使用されていた密度汎関数(DFT)法を凌駕する高精度理論化学計算法、密度行列繰り込み群(Density Matrix Renormalized Group;DMRG)と結合クラスター(Coupled-Cluster; CC)をMn錯体に適用し、異なるリガンドとスピン状態にある一核と二核Mnの相対安定性を評価した。これらの結果をもとに、PSIIなどの高核Mn錯体のEPR実験結果の理論的解析法の導出に成功した。
上記研究と並行して、PSIIの進化的祖先である酸素非発生型硫黄細菌由来反応中心(RC)-光捕集アンテナ(LHCI)超分子複合体の結晶構造を高分解能で解析し、論文をNature誌に公表した。また、構造未知の、珪藻由来PSIIの光捕集アンテナタンパク質であるクロロフィルc-フコキサンチン結合蛋白質FCPの構造を高分解能で解析し、成果をScience誌に公表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
X線自由電子レーザーを用いたポンプープローブ時間分解構造解析法をPSII微結晶に適用し、光照射により誘導させる微小な構造変化を検出するとともに、極めて低X線照射量と高分解能でPSIIの構造を解析し、Mn4CaO5のより精密な構造を解析した。また、従来の(DFT)法を超える高精度理論化学計算法、DMRG法をPSIIの理論計算に適用し、Mn化合物の相対安定性について重要な知見を得た。合わせて、PSIIの進化的祖先である酸素非発生型硫黄細菌由来の巨大膜タンパク質複合体、RC- LHCI複合体 (サブユニット数36個、総分子量400 kDa)の構造を1.9 A分解能で解析し、論文をNature誌に公表し、珪藻由来PSIIの光捕集アンテナタンパク質FCPの構造を1.8 A分解能で解析し、論文をScience誌に公表した。これらの成果から、研究が当初の計画以上に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまで構造変化が検出されていない、3閃光照射によるPSIIのS状態遷移に伴う構造変化 (S3→(S4)→S0)を検出するため、PSII微結晶の溶液条件を改善し、S3状態以降の遷移効率が十分高い微結晶の条件を確立し、XFELを利用したポンプープローブSFX法で S3→(S4)→S0遷移に伴う構造変化を解析する。同時に、1閃光、2閃光照射後の異なる遅延時間で複数時点でのX線回折データを収集し、光誘導による電子伝達・プロトン移動に伴うPSIIの構造変化をより詳細に解析する。また、暗順応状態にあるPSII結晶について、pHに依存した構造の変化を高分解能で追跡し、アミノ酸のプロトン化・脱プロトン化によるPSII構造と機能への影響を明らかにする。さらにヨウ素イオンやヒドロキシルアミンなどにより還元されたPSIIの構造を解析し、S0状態またはそれより進んだ還元状態にあるPSIIの構造を解明する。
以上より得られた各状態のPSIIの実験構造について、DFT法を超えるDMRG法を用いて解析し、実験結果と合わせてPSIIの詳細な構造と反応機構を解明する。
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| Remarks |
受賞
沈 建仁、2018年、The First Jalal Aliyev Lecture Scholarship Award, International Society of Photosynthesis Research
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Research Products
(53 results)
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[Journal Article] Biohybrid solar cells: Fundamentals, progress, and challenges2018
Author(s)
Musazade Elshan、Voloshin Roman、Brady Nathan、Mondal Jyotirmoy、Atashova Samaya、Zharmukhamedov Sergey K.、Huseynova Irada、Ramakrishna Seeram、Najafpour Mohammad Mahdi、Shen Jian-Ren、Bruce Barry D.、Allakhverdiev Suleyman I.
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Journal Title
Journal of Photochemistry and Photobiology C: Photochemistry Reviews
Volume: 35
Pages: 134～156
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] A transparent electrode with water-oxidizing activity2018
Author(s)
Azadi Gouhar、Bagheri Robabeh、Bikas Rahman、Mousazade Younes、Cui Junfeng、Song Zhenlun、Kinzhybalo Vasyl、Shen Jian-Ren、Allakhverdiev Suleyman I.、Najafpour Mohammad Mahdi
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Journal Title
International Journal of Hydrogen Energy
Volume: 43
Pages: 22896～22904
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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