2017 Fiscal Year Annual Research Report
光合成における光収穫アンテナの構造と励起エネルギー伝達・移動機構の解明
Project Area | Creation of novel light energy conversion system through elucidation of the molecular mechanism of photosynthesis and its artificial design in terms of time and space |
Project/Area Number |
17H06436
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
民秋 均 立命館大学, 生命科学部, 教授 (00192641)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 生物物理 / 超分子化学 / ナノ材料 / 光物性 / バイオナノテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において、Chl-cの誘導体を用いたクロロゾーム型光捕集アンテナは、太陽光の光子数密度の高い500~700 nmに比較的大きな吸収を持つことが明らかになっている。そこで今回、Chl-cと同じポルフィリンπ骨格を有するクロロフィル誘導体を、天然Chl-aを化学修飾することで合成し、ミセル水溶液や低極性有機溶媒中で自己会合させ、可視吸収スペクトルを測定した。調製した合成クロロフィルの自己会合体は可視域に幅広い吸収帯を持ち、よい光捕集アンテナモデルとなることが示された。さらに、少量のバクテリオクロリン類を添加して、蛍光発光・励起スペクトル測定を行ったところ、合成クロロフィルの自己会合体からバクテリオクロリン類への励起エネルギー移動も明らかになり、光収穫アンテナ系として有効であることが判明した。 例えば、クロロソーム型に自己集積する亜鉛クロロフィル分子ZnCをエネルギー供与体とし、合成亜鉛バクテリオクロロフィルZnBをエネルギー受容体に用いて実験を行った。それぞれの合成亜鉛(バクテリオ)クロロフィルをテトラヒドロフランに溶かし、99倍量のヘキサンを加えて、サンプル溶液を調製した。このサンプル溶液について各分光測定(UV-Vis-NIR吸収、蛍光発光、蛍光励起)を行った。UV-Vis-NIR吸収と蛍光発光スペクトルから、ZnCはZnB共存下でも自己集積し、さらにZnBと共会合することがわかった。この共会合体の蛍光発光極大波長での励起スペクトルから、光励起されたクロロソーム型自己集積体(ZnC)nは、(ZnC)nと相互作用したZnBへ励起エネルギー移動を生じさせることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた「緑色細菌由来のクロロゾームの超分子構造・機能解明」ならびに「人工光合成アンテナ系の創製」に関する研究は、予定通り進行し、学会発表や論文公表が行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究をさらに進めつつ、「人工光合成系の創製」も行っていく予定である。
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