2019 Fiscal Year Annual Research Report
Highly selective molecular transformations by hybrid catalysts composed of alloy cluster and metal oxide
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
17H06443
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
宍戸 哲也 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (80294536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 大樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (20633267)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | ハイブリッド触媒 / 合金クラスタ / 無機固体 / 有機合成化学 / 触媒・化学プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
遷移金属触媒を用いるハロゲン化アリールのシリル化は、医薬品や農薬の有用な合成中間体であることに加え、有機エレクトロニクス、材料化学などの分野で幅広く用いられるシリルアレーン類を合成するために有用な手法である。これまでに臭化アリールあるいはヨウ化アリールの反応については種々の触媒系の適用が報告されている。しかし安価にもかかわらず反応性の低い塩化アリールの適用は報告されていなかった。本研究では担持PdAu合金触媒を用いたところ、塩化アリールのシリル化が効率的に進行することを明らかにした。様々な置換基を有する塩化アリールアレンあるいはヒドロシランが適用可能であった。詳細な速度論的反応機構解析をおこなった結果、Auナノ粒子中に存在するPd原子上に求核的なアリール種がAu原子上に求電子的なSi種が発生することで、反応が効率的に進行することを明らかにした。 これまでの検討から,複数の反応系についてAu上に求電子性の高い中間体が生成することを見出している.そこでこの特性を利用し,担持Au触媒を用いたアリルエステルのアリル位ボリル化反応を検討した.その結果,Au/TiO2触媒を用いると一級アセテートだけでなく,二級アセテート,三級アセテートなど様々な基質が適用可能であり,対応するアリルボロン酸エステルがそれぞれ良好な収率でえられた.また,ベンジルボロネートの合成を検討したところ、ベンジルアセテートのボリル化反応は短時間で効率的に進行し,目的生成物であるベンジルボロネートが高収率で得られた.様々な二級のベンジルアセテートを基質として用いた場合も反応が進行したことを見出した.すなわちAu/TiO2触媒が既存の触媒系よりも幅広い基質適用性を有することを明らかとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組成および構造を制御した合金ナノクラスタおよびAuクラスタの触媒作用について検討を進め,着実に成果を上げている.本年度は,担持PdAu合金触媒が,塩化アリールのシリル化が効率的に進行することを明らかにした.Auナノ粒子中に存在するPd原子上に求核的なアリール種がAu原子上に求電子的なSi種が発生することで,反応が効率的に進行することを明らかにした.求電子的な活性種がAu上に生成する点は,これまで検討を行ってきたアルキンの[2+2+2]付加環化反応と同様である. 本年度は,このAu上に生成する求電子的な活性種を利用し,担持Au触媒を用いた場合にアリルエステルのアリル位ボリル化反応が効率的に進行し,アリルボロン酸エステルが高収率で得られることを見出した.本触媒系は,一級アセテートだけでなく,二級アセテート,三級アセテートなど様々な基質が適用可能であり,対応するアリルボロン酸エステルがそれぞれ良好な収率で与える優れた特徴を有する.さらにベンジルアセテートのボリル化反応が短時間で効率的に進行し,目的のベンジルボロネートが高収率で与えること,既存の触媒系よりも幅広い基質適用性を有すること,アリルアセテートから合成したアリルボロネートを用いてアルデヒドのOne-potアリル化反応が進行することなどを見出し,ハイブリッド触媒系への展開を図っている. さらに昨年度に引き続き,金井班(A01計画研究)とこれら合金材料の触媒特性を活かした炭化水素からの水素生成反応系への応用展開を検討中である.さらに,領域内の複数の研究グループ(寺田グループ,伊藤グループなど)と共同研究を開始し,合金クラスタと固体触媒のみならず,遷移金属錯体触媒あるいは有機分子触媒との融合化を図ることで多様な反応に対応可能な,ハイブリッド触媒系の創出に取り組んでおり,領域の特徴を生かした研究を推進している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,アリルアセテートから合成したアリルボロネートを用いてアルデヒドのOne-potアリル化反応によるホモアリルアルコール合成の検討を進める。 具体的には,固体酸とのハイブリッド系を構築し,boronate あるいは allenylsilaneと求電子試薬の連続反応を検討する。さらに、複数の金属をハイブリッド化した例えば,Pd-Au合金によるallyl あるいはaryl electrophileとの cross-couplingを検討する。また、金属錯体触媒・有機触媒を用いるboronate あるいは allenylsilaneの連続反応やAuナノ粒子と不斉誘起剤のハイブリッドによるchiral benzyl boronate合成反応の開発について領域内の研究者と共同研究を展開する。 また、これまでに見出した担持PdAu合金触媒によってアレン類のヒドロシリル化が温和な条件で効率良く進行し,β-ビニルシランを選択的に与えることを利用し,担持合金クラスタ触媒をPd錯体触媒と組み合わせたハイブリッド触媒系を構築し,四置換アルケンの位置および立体選択的な合成を検討する. さらに合金ナノクラスタの階層構図や表面構造を制御し、その構造・電子状態と触媒機能の相関についてPd-Au系に限らず広く検討をすすめる.理論計算による電子状態や反応機構の解析にも取り組む.
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Research Products
(42 results)