2020 Fiscal Year Annual Research Report
On-demand activation of metal complex catalysts by photochemical/electrochemical stimuli
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
17H06444
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
正岡 重行 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20404048)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 錯体化学 / 小分子変換 / 光化学 / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「課題①:光/電気化学的刺激により活性種を自在に作り出す手法の開拓」ならびに「課題②:光/電気化学的刺激をトリガーとするハイブリッド触媒系の構築と最適化」から構成される。2020年度は特に「課題②:光/電気化学的刺激をトリガーとするハイブリッド触媒系の構築と最適化」の遂行に注力した。具体的な研究成果の1つとして、ロジウム2核錯体と有機色素を組み合わせた触媒分子の自己集積化によって得られるフレームワーク触媒の開発ならびに触媒機能評価を実施した。このフレームワーク触媒は、良好な可視光吸収能と水素発生触媒能を両立したハイブリッド触媒システムと見做すことができる。事実、可視光照射条件において90時間以上良好な活性を維持したまま光水素発生反応を促進可能であることが見出された。またこの触媒が固体材料であることを有効に活用し、高い触媒再利用性が示された。もう一つの代表的な研究成果として、金属錯体触媒ユニットと電荷伝達サイトとの融合に基づく電気化学的酸素発生触媒系の構築を達成した。天然の酵素で行われる酸素発生反応では、良好な触媒活性中心のみならずその近傍に存在する電荷伝達サイトの存在が、系全体の高い活性に大きく貢献している。一方で、人工系において同等の触媒系を構築する手法はごく限定的である。そこで我々は、酸素発生能を担うルテニウム錯体中心に対し、カルバゾール部位を導入した金属錯体を新規に設計・合成した。そして、この錯体を電気化学的条件下で酸化したところ、電荷伝達サイトとして機能するビスカルバゾール部位で触媒活性サイトが架橋されたハイブリッド型酸素発生触媒材料が構築された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、光化学的刺激あるいは電気化学的刺激を駆動力とし、水や二酸化炭素などの遍在小分子から有用化合物を生成可能な新規ハイブリッド触媒系の創出に複数成功している。また得られた成果はいずれも国際的な学術雑誌に掲載が決定している。以上より、研究は順調に進捗していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに得られた成果により、光化学的刺激/電気化学的刺激に応答する反応性金属錯体触媒を有効に利活用することで、水や二酸化炭素などの遍在小分子を活性化し有用化合物を効率よく合成可能なハイブリッド触媒システムの構築が可能であることが見出された。次年度は、この概念を様々な錯体触媒に適用し、我々の提唱するハイブリッド触媒システムの開発戦略の汎用性を拡張する試みを実施する予定である。
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