2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism and etraction of key for hybrid catalytic systems based on the automated reaction path search method
Project Area | Hybrid Catalysis for Enabling Molecular Synthesis on Demand |
Project/Area Number |
17H06445
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
畑中 美穂 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80616011)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Sameera W.M.C. 北海道大学, 低温科学研究所, 特任助教 (90791278)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 反応経路自動探索 / 人工力誘起反応法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本学術領域内で開発された触媒反応の機構を明らかにするべく、反応経路自動探索を用いた解析を行った。本年は、山下らのグループ(A02班)の不斉マンニッヒ反応に着目した。この反応は、光学活性なビスオキサゾリンカリウム塩(K-BOX)とカリウムヘキサメチルジシラジド(KHMDS)を触媒量添加することで、高収率、高立体選択的に進行する。我々は、この系における触媒活性種を明らかにすべく、K-BOXとKHMDSの会合体の構造を、人工力誘起反応法を用いて網羅的に探索した。その結果、2つのカリウムカチオンに対して、ビスオキサゾリン配位子1分子が配位した二核錯体構造が安定に存在することを明らかにした。 また、機械学習による触媒能の予測システム構築のためのデータベース作りにも取り組んだ。金属錯体触媒の配位子の情報を説明変数、触媒能(収率や選択性などの実験値)を目的変数とする機械学習モデルを構築するためには、多数の金属錯体触媒のデータが不可欠である。このデータを高効率に収集するために、ケンブリッジ結晶構造データセンターのデータベースに登録されている金属錯体の結晶構造データのmol2ファイルから、量子化学計算の入力ファイルを自動生成するシステムを構築した。(このシステムでは、結晶構造に含まれる溶媒やカウンターイオンの除去、全電荷の特定も自動で実施できる。)テスト計算として、Ce光還元触媒に着目し、Ce, H, C, N, Oを含むCe単核錯体約200種の構造最適化、励起状態計算の結果が2週間以内に収集できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
触媒能を予測する機械学習システムの構築のためには、(1)触媒構造のデータベースと(2)その触媒を含む素反応の反応経路データベースの2種が必要である。研究開始前は、(1)のデータを作るために、金属錯体の初期構造を作成するプログラムが必要だと考えており、この開発に手間取っていたが、結晶構造データベースを利用するという代替手段を見つけたことで、(1)の段階が大きく進展した。(2)の自動計算システム構築の目途は立っているため、本プロジェクト終了までに、(1)(2)のデータベース構築が順調に進むと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
触媒能を予測する機械学習システム構築に向けたデータベース作り、及び、実験データを目的変数とする機械学習モデル構築を行う。上記の通り、触媒構造のデータを結晶構造データベースを元に作るシステムができたため、今後は様々な金属錯体に対する計算データを蓄積していく。Ce光還元触媒については、触媒活性に関わるとされる2種の物理量(f-d遷移の励起エネルギーと遷移双極子モーメント)のデータを収集する。この2つの物理量の理論計算には、4f電子を含む励起状態計算が不可欠であるが、4f電子の特徴を活かし、4f電子を有効内殻ポテンシャルに含めた基底状態の計算で得られる5d軌道の情報から予測できるよう、機械学習モデルを構築する。構築したモデルを元に、ハイスループットスクリーニングを行い、高い活性を持つ触媒を抽出することを目指す。 また、これと並行して、金属錯体触媒(主にPd)の素反応の反応経路のデータを、人工力誘起反応法を用いて収集していく。素反応経路の活性化エネルギーや構造変化のデータを説明変数、実験データを目的変数とする機械学習モデルを構築し、高い触媒活性・選択性を持つ触媒の配位子の探索に活用する。
|
Research Products
(18 results)