2020 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Geochemical Analysis for Aqua-planetology
Project Area | Aqua planetology |
Project/Area Number |
17H06458
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90444207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (00373746)
高橋 嘉夫 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10304396)
佐久間 博 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (20400426)
武市 泰男 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (40636461)
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 副主任研究員 (50726958)
癸生川 陽子 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (70725374)
若林 大佑 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (20759964)
菅 大暉 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 分光・イメージング推進室, 研究員 (70827568)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | X線顕微鏡 / 分子地球化学プロキシ |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) X線顕微鏡を中心とする分析拠点による分子地球化学的解析の推進に関して以下の成果を得た。BL-19ビームラインでは、第一ミラーへの熱負荷が変化した際、数時間オーダーでのビーム位置の変動が観察されていた。ミラーで発生した光電子に原因があることを明らかにし、適切な遮蔽を設計・導入することで解決した。開発した光電子遮蔽は、今後、様々な放射光施設において標準装備になると期待される。 (2) 隕石における水-岩石反応の解析に関して以下の成果を得た。炭素質コンドライト隕石が初期地球へ生命原材料となる有機物を供給した可能性が指摘されている。これらの母天体では、水質変質過程において単純な分子からアミノ酸が形成されることが知られている。本研究では、アミノ酸の生成に対する鉱物の影響を実験的に検証し、層状ケイ酸塩鉱物であるモンモリロナイトは反応初期にはアミノ酸の形成を促すが、後に分解を促すことが分かった。本研究は、太陽系初期進化過程における小天体内部でのアミノ酸等の形成や安定性の理解に寄与するものである。 (3) 初期火星における水-岩石反応の解析に関して以下の成果を得た。太古の火星に存在していた水の組成や、当時生じた水岩石反応を明らかにするべく、本研究では40億年前に火星で生成した炭酸塩鉱物を含む隕石の局所鉄化学種分析を行った。本研究にて、炭酸塩中にスメクタイト族の粘土鉱物が含まれていることが世界で初めて明らかとなり、40億年前の火星で生じた水岩石反応の理解が進展した。 (4) 氷天体における水-岩石反応の解析に関して以下の成果を得た。土星の衛星エンセラダスの内部海には液体の水が存在し、その水質は地球のアルカリ塩湖と類似していると推定されている。本研究ではモンゴル・アルカリ塩湖の水質を制御する機構を解明し、その制御機構をエンセラダス内部海に適用することで内部海の水質を定量的に制約した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初期火星・氷衛星の水質条件を制約することに成功し、隕石における水-岩石-有機物反応に関する知見を得た。またX線顕微鏡の高度化も順調に進展している。以上より当初の予定通り順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)X線顕微鏡を利用した地球外物質の分析:「はやぶさ2」によるリュウグウ試料をX線顕微鏡により分析することで、初期地球の生命原材料となる水や有機物の起源に関する知見を得る。 (2)小惑星の水質復元:これまで開発した水質復元法および地球化学プロキシを用いて、隕石試料および帰還試料の地球化学・鉱物学的特徴に基づいた水質復元を行う。
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