2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Topological Materials lead by quantum anomalies, branes and solitons
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
17H06462
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 幸士 京都大学, 理学研究科, 教授 (80345074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 義将 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任研究員 (00425604)
押川 正毅 東京大学, 物性研究所, 教授 (50262043)
衛藤 稔 山形大学, 理学部, 教授 (50595361)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | トポロジカル物質 / 場の量子論 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
トポロジカル物質については、高次トポロジカル物質の一般的な起源について研究し、連続極限での高次トポロジカル物質の起源が、5次元空間のワイル物質のハミルトニアンに起因することを突き止めた。また、ブラックホールに似たタイプ2と呼ばれるワイル物質の表面状態について研究し、表面における境界条件によって、あたかもブラックホールの地平面から外に出る方向への伝播が表面状態は可能であることを発見した。 また、トポロジカルソリトンについては、高次元時空中のBPSドメインウォール ジャンクションとそのネットワークの厳密解の構成に成功し、また新しいトポロジカルチャージを発見した。また拡張ヒッグス模型における南部モノポール解の構成と、多成分BEC系の量子渦分子とQCDの閉じ込めの関連について明らかにした。 また、場の数理的側面についての研究においては、場の理論に現れる高次対称性や高次群を及びそのアノマリーについて調べた。アクシオンと電磁場が結合する系において、3群の構造があることを理論的に示し、さらにその't Hooftアノマリーを明らかにした。また、高次対称性が自発的に破れる場合に現れる南部ゴールドストンモードについて、有効場の理論を用いて、対称性の破れと、南部ゴールドストンモードの数の関係について明らかにした。 トポロジカル物質の重力理論との関係、とくにホログラフィー原理について知見を深めるため、ブラックホールの情報喪失問題について、holographyから示唆されるislandと呼ばれる効果を漸近平坦なブラックホールの場合に応用した。また、薄い球殻の重力崩壊によって形成されたブラックホールが蒸発する時空の構造を解析的に調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、当初からの課題であった、高次トポロジカル物質の起源について、連続極限での知見を得ることに成功した。起源が具体的に分かったことは重要であり、また、よく知られた高次トポロジカル物質も本研究成果のカテゴリに相当するため、ユニバーサルな記述を与えている可能性がある。 また、最も単純なトポロジカルソリトンの一つであるドメインウォールが複雑に交差するジャンクションは高次トポロジカル物質と似た構造を持つ。本年度の成果により場の理論の厳密解が明らかになり、ソリトンの立場から高次トポロジカル物質の特徴を捉える準備が整いつつある。 また、これまで行ってきた高次対称性及び高次群に関する研究をまとめ、関連する4本の論文を出版することができたため,進捗状況は概ね良好であると言える。 Islandに関する研究については、定常なブラックホール解においてIslandの効果によりPage曲線が再現されることを示した。薄い球殻の重力崩壊によるブラックホールについては、重力崩壊した球殻がブラックホールが蒸発するまでapparent horizonからPlanck長の距離にとどまっていることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
高次トポロジカル物質の連続極限の離散対称性が判明したため、これにさらに離散対称性を組み合わせることで、新たなクラスが得られるのかを検討したい。 また、ドメインウォール ジャンクションのネットワーク解の構成方法を更に一般化してnon-Abelian対称性を反映したソリトン解を構成したい。またフェルミオンとの相互作用を取り入れジャンクション解に付随するトポロジカルなモードを特定することを目指す。 一方、高次対称性については、これまでの知見を高密度QCDに適用する。高密度QCDでは、カラー超伝導相が実現すると考えらているが、カラーの破れのパターンによって様々な相が現れることが予期されている。これらの相に関して高次対称性を用いて、QCDで実現可能は相を明らかにする。 Islandに関する研究については、重力崩壊によって形成されるブラックホールについて、重力崩壊する物質の寄与を取り入れてIslandの効果を調べる。また、ブラックホール時空の構造については、より一般的な物質の重力崩壊の場合について調べる。
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Research Products
(37 results)