2018 Fiscal Year Annual Research Report
3次元トポロジーに基づく静的・動的ネットワークの提案
Project Area | Discrete Geometric Analysis for Materials Design |
Project/Area Number |
17H06463
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
下川 航也 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (60312633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 海 山口大学, 教育学部, 准教授 (40634762)
出口 哲生 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70227544)
手塚 育志 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (80155457)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | トポロジー / ネットワーク / 共連続構造 / トポロジー高分子 / 結び目 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画に挙げていた、3つの絡み合うネットワークと共連続構造の分岐曲面の関連についての基礎的研究を完成し、研究分担者の石原氏、研究協力者の小沢氏、古宇田氏とともに論文として発表した。また、多面体絡み目の形状をもつ化合物の特徴付けを行い、雑誌Nature Communicationsに発表した。 出口氏の研究では、複雑な構造をもつ高分子に対して、慣性半径や拡散係数などを具体的に数値的に計算した。東工大のつばめ計算機を用いて分子動力学シミュレーションを実行し、排除体積効果が存在する場合におけるトポロジー高分子の慣性半径や拡散係数を求めている。手塚氏は、これまで推進してきた独自の高分子合成手法(ESA-CF法)に基づく、様々な新奇多環状トポロジー高分子の設計法を発展させ、トポロジー幾何学の視点から特に重要な「かたち」に焦点を絞り合成を行うとともに、高分子のトポロジー効果によるブレークスルー機能の創出を図っている。 国際会議を2件行った。 ○ “The Topology of Nucleic Acids: Research at the Interface of Low-Dimensional Topology, Polymer Physics and Molecular Biology” (19w5226), Banff International Research Station for Mathematical Innovation and Discovery, Banff, Alberta, Canada, 2019年3月24日~29日 ○ “Polymers meet Topology” 2019年1月30日~2月1日、東京工業大学, 世話人 : 出口哲生(お茶の水女子大学)、手塚育志(東京工業大学)、下川航也(埼玉大学)(アブストラクト集を発行)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に挙げた課題のうち、3相共連続構造と3つの絡み合うネットワークとの関係について、成果をあげることが出来、論文として発表した。これは、当初の目的としてまず考えたものであり、トポロジー的側面の研究については目標通りの達成度であるといえる。統計物理学的観点、高分子化学的観点でも、現段階までに予定した研究を行っており、論文も、下記にあげる通り、数多く出版している。これも目標通りと言える。 また、国際会議を2つ行うことが出来た。これは、当初の予定より活発に活動出来ていると言える。また、2017年度に行った国際会議のプロシーディングも、雑誌Reactive and Functional PolymersのSpecial Issueとして発行できたことは、このコミュニティへのアピールとなっており、大きな成果と言える。 さらに、新たに発生した研究課題の論文がNature Communicationに出版されたことは、当初の予定にはない成果である。 また、ポスドクであった久野氏の昇進と新たなポスドクの阪田氏の着任があった。阪田氏の加入により、双曲的幾何学を用いた議論を行えるようになり、A03-1班との共同研究が新たに開始された。これは当初の予定をより強力にするものとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3次元トポロジーの議論を応用し、3相共連続構造と3次元ネットワークの研究を、3次元トーラスのハンドル体分割の分類の研究を用いて行う。そのデータを、A02班に提供し、シミュレーションを用いて、物性を予測する。そのなかでも良いものを、高分子化学者に提供し、新奇材料の開発を目指す。 現在、絡み合う3つのネットワークから、分岐曲面を作り出す研究を進めている。例えば、srsというネットワークを3つ用いた絡み合うネットワークの例は、3次元トーラスの種数5のハンドル体3つによる分解の例となっている。この分解は対称的に配置さている観点では良い例となっているが、stabilizedな分解の例となっている。このような例からより本質的な種数の小さい例の構成とトポロジーの観点からの分類を行う。この部分を、研究代表者の下川、研究分担者の石原氏、研究協力者の小沢氏、古宇田氏、および、ポスドクの阪田氏とともに行う。さらに、その安定性などの統計物理学的評価を、研究分担者の出口氏、伊藤氏が担当する。そのモデルを、A02-2の青柳氏のグループに提供する。さらに、公募班の山本氏らの高分子化学者と、材料の設計に関して議論を行っていく。
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