2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on role of phytohormones in regulation of stem cell proliferation
Project Area | Principles of pluripotent stem cells underlying plant vitality |
Project/Area Number |
17H06473
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
榊原 均 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20242852)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 茎頂幹細胞 / サイトカイニン / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
茎頂分裂組織(SAM)におけるサイトカイニン生合成と受容の空間的分離の重要性を検証するために、SAM最表細胞層であるL1層(LOG4 promoter)、中央帯(CLV3 promoter, LOG7 promoter)、形成中心(WUS promoter)の各組織で特異的に発現するプロモーター制御下でLOG遺伝子(LOG4およびLOG7)を発現するコンストラクを作成し、log多重変異株(log123457)に導入、それらのT2世代を確立した。これらのうち、CLV3promoterについては、3’UTR上にも組織特異的発現の関与する領域があることを指摘されたため、WUSも含め再度コンストラクトを作成し直した。これらの発芽5日目の植物体を固定化および透明化し、顕微鏡観察によりSAMのサイズを比較した。具体的にはlog多重変異株で見られるSAMサイズの縮小を回復できる効果の評価を行った。その結果、CLV3pro:LOG4およびCLV3pro:LOG7ではSAMのサイズが野生型と同等にまで回復したのに対し、WUSpro: LOG4, WUSpro: LOG7ではいずれも回復しなかった。サイトカイニンの受容体は形成中心領域で発現していることから、茎頂幹細胞の活性維持には、サイトカイニン生合成と受容の空間的な分離が重要であることが示唆された。 茎頂分裂組織内でのサイトカイニン輸送に関わる新規輸送体の同定については、茎頂領域で発現する輸送体遺伝子群をインシリコ解析により絞り込み、シロイヌナズナ培養細胞にアグロバクテリウムを介して導入した。その培養液中のサイトカイニン分析を行うことにより、2つの候補遺伝子CTC5, CTC13を選抜した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
さい新型コロナウィルス感染症による影響で、遺伝子組換え植物作成に滞りが出たことと、年度途中でCLV3プロモーターを使用したコンストラクトに不十分な点があることが判明したため、再度作成し直す事態になったものの、最終的には当初の目標であった、茎頂幹細胞の活性維持には、サイトカイニン生合成と受容の空間的な分離が重要であることを示す実験結果を得ることができた。 また、サイトカイニン輸送に関わる新規輸送体の同定についても、インシリコ解析を効果的に利用し、遺伝子を絞り込んでから遺伝子導入と評価実験に進めたことで、2つの候補遺伝子を単離するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、もう1つの目標である、茎頂分裂組織(SAM)内での中央帯から形成中心へのサイトカイニンの移動経路がシンプラスト経由かアポプラスト経由かについての知見を得るために、SAM内局所領域特異的にサイトカイニン濃度を撹乱させる植物を作成し、その評価を行う。それらの結果も併せ、茎頂幹細胞の維持におけるサイトカイニンの代謝と輸送の制御機構とその重要性について考察する。 これに加え、茎頂領域でサイトカイニンの輸送に関わる新規遺伝子を同定できれば、これまでほとんど不明であったサイトカイニンの輸送制御機構の分子実体が明になることが期待される。
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Research Products
(7 results)