2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analyses of stem cell genomes in long-lived plants
Project Area | Principles of pluripotent stem cells underlying plant vitality |
Project/Area Number |
17H06478
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐竹 暁子 九州大学, 理学研究院, 教授 (70506237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陶山 佳久 東北大学, 農学研究科, 准教授 (60282315)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 長寿命 / DNA修復 / 樹木 / 多様性 / 個体内ゲノム変異 / 突然変異 / SNPs / 次世代シーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
植物には、何百年・何千年と生き続ける長寿命のものがある。このような長寿命植物では無限に分裂可能な幹細胞が数多く散在するとともに、ゲノムの体細胞間変異が無視できないほど蓄積されていることがこれまで報告されてきた。本研究課題では、このゲノム体細胞間変異を、動けない植物が多様な次世代を創出する戦略としてとらえそれを実証する。
●平成29年度は、主に寿命が約2倍異なるシラカンバ(Betula platyphylla)とダケカンバ(B. ermanii)を対象にした分析と、突然変異蓄積プロセスをとらえた数学モデルの構築および解析を行った。北海道大学雨竜演習林を調査地とし種あたり新規に3個体を伐採し芽サンプルを異なる枝より採取した。各枝の長さと年輪情報より齢を推定したところ、シラカンバは平均樹齢70年、ダケカンバは平均樹齢170年であった。寿命の異なる種間比較に絶好のサンプルを準備することができた。 ●実証データで今後示される変異の蓄積パターンを説明するために、突然変異率、枝分岐までに必要な細胞分裂数、芽を形成する幹細胞集団サイズをパラメータとした数学モデルを構築し、枝分岐後の経過時間に依存した突然変異数の推移を予測した。 ●北米に生息し体積世界一の樹木として知られるジャイアントセコイアを対象に、生態学的木登り調査によってすでに採取された枝サンプルを整理し、Migseqによる塩基配列情報の取得を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
●樹齢の異なる近縁種より絶好のサンプルを採取することができた。 ●対象種を途中で変更したにもかかわらず順調にサンプル採取を実施することができた。●得られたサンプルからはゲノムシーケンスに使用可能な高品質のRNAを抽出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度にはH29年度に得られたサンプルを用いて、DNAシーケンスの実施、突然変異の検出を行う。また、前年度と同様の手法で熱帯に生息する樹木においても新規にサンプル採取を実施する。実証データで示される変異の蓄積パターンを説明するために、突然変異率、枝分岐までに必要な細胞分裂数、芽を形成する幹細胞集団サイズをパラメータとした数学モデルの構築と分析を引き続き行う。得られる実証データと理論予測を照らし合わせることによって、今後は個体内体細胞突然変異の蓄積の背後に存在する規則性と生物の長寿命性の意義を見い出す。さらに、DNA修復に関わる酵素など突然変異率に大きな影響を及ぼすと考えられる遺伝子を種間で比較し、修復の効率性と突然変異蓄積の関係を定量化する。
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Research Products
(20 results)