Research Abstract |
国語施策と国語教育に役立てることのできる語彙表と漢字表を,代表性を有するコーパスに基づいて作成し,それらを活用する方法を開発することを目指して,研究に着手した。 まず,この研究を展開する基盤となるデータベースとして,I教科書コーパスと,IIコーパスに基づく語彙表・漢字表を,構築する作業に着手した。Iは,小・中・高等学校で使用されている全教科について,よく使われる教科書を対象とし,学校で教えられている語彙や漢字の全体を把握する資料とするものである。また,IIは,本領域で構築する「現代日本語書き言葉均衡コーパス」の語彙表・漢字表と,Iの教科書コーパスのそれとの双方を作成し,現代日本語における語彙・漢字の実態と,学校教育での語彙・漢字の実態とを把握する資料とするものである。平成18年度は,これら二種のデータベースについて,小規模な試作版を作成しつつ基本的な設計を行い,本格的な構築のための準備を整えた。 上記の基盤データを活用して,次の五つの細目を立て,分担を定め,研究に着手した。 a)難解用語の抽出と言い換え(田中) b)常用漢字表・人名用漢字等の在り方に関する調査研究(相澤) c)文章作成における語彙選択指導(野村) d)概念体系構築のための語彙指導(研究協力者:鈴木一史(東京大学教育学部付属中等教育学校教諭)) e)国語力向上のための漢字指導(棚橋) 平成18年度は,各細目において,コーパスをどのように使うのが効果的であるのか,コーパスのデータとコーパス以外から得られるデータとを,どう関連づければよいのかなどについて,重点的な検討を行った。
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