2009 Fiscal Year Annual Research Report
海洋の温室効果気体の長期変動と気候へのフィードバック効果
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
18067002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 豊 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (90333640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 一郎 東京大学, 海洋研究所, 教授 (80270792)
鶴島 修夫 独立行政法人産業技術総合研究所, 研究員 (40357538)
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Keywords | 温室効果ガス / 長期変動 / フィードバック効果 |
Research Abstract |
H21年度は以下の項目を実施した。 船舶海洋定点観測および広域観測: 北緯40度以北の北太平洋高緯度海域において2度わたる東西縦断観測調査を北大・おしょろ丸とJAMSTEC・白鳳丸を用いて実施し、温室効果気体の基礎データ(炭酸物質、DMS、N_2O、CH_4、水温、塩分、クロロフィル、珪酸塩、リン酸塩、硝酸塩、溶存酸素乱流・混合の直接測定等)の取得を行い、これらの結果とこれまでに得られている既存のデータをもとに気候へのフィードバック効果としての窒素フラックスの変動を解析した。その結果、現在、温暖化に伴い、少なくとも北太平洋においては大気-海洋の窒素循環が変わりつつあることが明らかになった。特に、深層では脱窒過程が進行している一方、表層では窒素固定が進んでいる可能性を明らかとした。 アルゴリズム開発: 船舶観測により得られる詳細な基礎観測データおよび、これまでに得られている既存のデータをもとに、炭酸物質・DMS・N_2O・CH_4のアルゴリズムの開発に着手した結果、DMSは、栄養塩・光強度・クロロフィル濃度と良い相関があるアルゴリズムを構築できることがわかった。一方、本特定領域研究の他班で独立に測定している現場DMS連続観測装置データとアルゴリズム結果を比較した結果、概ねよく一致するが、DMS濃度が10μM以上であるとアルゴリズムのほうが低めに出ることが明らかとなった。この原因が、DMSアルゴリズムにあるのか、DMS連続観測装置にあるのか、データの相互検討を行い、次年度に向けての研究方法を検討した。 海洋循環モデル実験: 20年変動が海洋環境変動に与える影響を単純化して組み込んだ数値モデルを用いて、北太平洋高緯度域への影響を評価し、観測で得られた結果と比較検討を行った結果、北太平洋の海洋環境長期変動は月活動に由来する潮汐変動によって支配されている可能性がかなりの確度で高いことが明らかとなった。これが、北太平洋高緯度域のどの程度の範囲にどの程度の影響をあたえているのかを明らかとするための、塩分と水温による感度解析に着手した。
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Research Products
(12 results)