2006 Fiscal Year Annual Research Report
気象擾乱による大気-海洋系物質循環および海洋生態系の応答
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
18067004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山中 康裕 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (40242177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
河宮 未知生 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, グループリーダー (10399579)
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Keywords | 海洋生態系モデル / 対流圏物質輸送モデル / 鉄循環 / ダスト / NOx / 大気海洋相互作用 / SOLAS / 春季ブルーム |
Research Abstract |
海洋生態系モデルNEMUROに簡単な鉄循環過程を組み込み、日本近海の親潮域にある観測定点A7に適用した。鉄の予報変数として溶存鉄(自由態・錯体態)・粒子状鉄・ダストを扱い、境界条件として大気物質輸送モデルSPRINTERから得られたダストデータに関して1996年から2006年までの平均した気候値、および、有光層下の粒子状鉄濃度を与え、そのもとでの溶存鉄・鉄総量の季節変化を再現した。観測から推定されている各種のパラメータ(粒子状鉄の溶解速度・光合成における鉄濃度に対する半飽和定数)などの範囲内で、観測された季節変化(溶存鉄は冬季から春季まで1μmol/l程度あるが、夏季には0.1μmol/lぐらいの枯渇状況)を再現することに成功した。 珪藻類の光合成は、春季ブルームの後半の時期は、ケイ酸塩制限となるが、それ以外の時期は、鉄制限状態にあることが分かった。また、今回の実験では、有光層内への鉄の供給は、主として有光層下層からであった。 アジアスケールを対象とした対流圏物質輸送モデルに人気起源汚染質の発生量の年々変動を加味して1980年から2003年まで長期積分を行った。その結果、東シナ海や日本海の縁辺海に大気経由で海上に沈着する人為起源の全硝酸塩がこの24年間で1.8-4.2倍に増加し、沈着量は中国国内の人為起源NOxの発生量の増加と非常に高い相関が見いだされた。2002年について東シナ海に沈着する全硝酸塩の量は140GgN/yearと推定され、その量は揚子江起源のNの30%程度の相当することも示された。
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Research Products
(5 results)