2010 Fiscal Year Annual Research Report
海洋に沈着する大気粒子中の微量元素と有機物質および海洋起源大気粒子の生成過程
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
18067005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 光夫 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (60203478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
三浦 和彦 東京理科大学, 理学部, 准教授 (00138968)
長田 和雄 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (80252295)
鵜野 伊津志 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70142099)
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Keywords | 海洋生態 / 環境変動 / 大気現象 / 地球化学 / 地球変動予測 |
Research Abstract |
平成22年度は、白鳳丸、淡青丸の研究航海で西部北太平洋における海洋エアロゾルの計測・試料採取と、北海道落石岬で陸上観測を行った。また、本領域研究期間中に採取した試料を分析し、大気モデルによる検証を重ねて、成果を論文として国際誌に投稿した。 海洋大気・海水中リンや重金属などの観測から、大気・海洋間のリンケージにかかわる知見を見出し、海洋表層薄膜が、物質循環中で重要な位置を占めることを示唆した。海洋表層中の懸濁物質の組成変化から、黄砂が植物プランクトンのブルームを引き起こすだけの鉄供給があることを見出した(植松)。高感度計測装置による海洋大気中アンモニアデータと電子顕微鏡観察と水透析法により状態分析したインド洋から南極海のエアロゾルデータを用い、新粒子生成過程について解析を進めた(長田)。 西部北太平洋の海洋エアロゾル中有機態窒素は、全窒素の67%を占めており、また全炭素中の88%と見積もられた。風速と良い相関を示したことから、海洋表面からの飛沫が重要な起源であると示唆された(河村)。落石岬で2009年10月から2010年9月まで海洋起源ナノ粒子を中心とした粒径分布の無人連続観測を行った。初夏を中心に<20nmの粒子が高濃度になるイベントが見られた。また、アジア大陸由来の物質が新粒子生成に関わり、海洋性気団より顕著な働きをすることがわかった(三浦、研究協力者:国環研・向井人史)。 ハワイのキラウエア火山由来の硫酸塩粒子が北太平洋上に広範囲に輸送されることや、雲粒子の変調や大気放射場に影響を与えることを、NASAのMODISデータや全球エアロゾル輸送モデル(SPRINTARS)から総合的に解析した。その結果、噴火は、貿易風帯での積雲の粒径を23%小さくし、雲被覆率を37%増加させていること(Twomey効果)が明瞭になった。また、2010年に北米大陸の対流圏全層にわたって輸送されたアジア起源ダストの構造と異常気象との関係を解析した(鵜野)。
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Research Products
(90 results)