Research Abstract |
前年度開発した粒子分級器と化学発光式窒素酸化物計を組み合わせた硝酸塩測定装置を用いて実際に沖縄辺戸岬観測で観測を始めた。その一方で,本装置で用いる硝酸塩の還元触媒の性能を確かめるために,標準粒子発生装置を用いて,還元効率を調べたところ,粒径10μm以下の粒子においてほぼ定量的な還元が確認できた。 一方で,ガス状硝酸と反応性総窒素化合物(NO_y)の通年観測も行なった。両方ともに濃度変動は主として気塊の履歴に依存し,中国起源の場合に高かった。また,中国起源の場合,辺戸岬への到達NOy濃度が気塊の輸送時における相対湿度と逆相関を示した。これは主として,相対湿度が高いほど硝酸の沈着速度が上がるためと考えられる。また,ガス状硝酸濃度の中国大陸から辺戸岬への気塊の輸送時間に対する依存性を用いて,東シナ海上におけるガス状硝酸の平均寿命を推定したところ,1〜2日と見積もられた。 これまでの粒子状硝酸塩,ガス状硝酸,反応性総窒素化合物(NO_y)の通年観測結果と中国国内での観測結果と比較し,輸送中にガスから粒子に変換され,また微小粒子から粗大粒子に硝酸塩がシフトしていることを明らかにした。本結果はJ. Geophys. Res.に投稿し受理された。 更には,乾式微量アンモニアガス測定器の温湿度依存性について検討し水蒸気量が大きく結果に影響することを見出した。本特定領域に属する名古屋大長田グループの湿式アンモ三アガス測定器と名大で並行運転し,濃度変動がほぼ一致することを確認した。本特定領域の集中観測を沖縄辺戸ステーションで実施し,両装置とも観測ステーションに設置して春季に連続観測を行った。通常は0.5 ppb 以下であるが,他の大気汚染質濃度が高くなるときにアンモニアガス濃度も数再)bまで高くなることがわかった。
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