2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
18067011
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
坂東 博 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 教授 (80124353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 昭憲 (独)国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 室長 (00262030)
定永 靖宗 , 工学研究科, 助教 (70391109)
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Keywords | 硝酸塩 / 沖縄辺戸岬 / 気塊依存性 / 反応性窒素化合物 / 海洋-大気の窒素循環 |
Research Abstract |
沖縄辺戸岬で連続観測を行っているHNO_3(g)の日内変動について着目した解析を行った。HNO_3(g)は14時に濃度ピークを持ち、大陸からの長距離輸送だけでなく、観測地点近傍におけるHNO_3(g)の光化学生成の可能性を示す結果となった。一方、HNO_3(g)の日内変動パターンは気塊の輸送経路や季節によって大きく変動しない。更にHNO_3(g)の日変化の振幅をNO_y濃度で除した値の季節変動を見ると、夏季に高く、冬季に低い結果となった。夏場のほうが太陽光強度が大きいことから、この結果はHNO_3(g)の光化学生成を支持していると考えられる。以上のことから、HNO_3(g)の日内変動を支配する要因は長距離輸送によるものというよりも、むしろ観測地点近傍でのHNO_3(g)の光化学生成、輸送であると考えられる。 2008年春に測定したアンモニア、アンモニウムの動態に関する解析をすすめた。観測期間中のNH_3、NH_4^+の平均濃度はそれぞれ0.56±0.50ppbv、2.2±1.4μgm^<-3>であった。他の測定も考慮するとNH_3の平均的な濃度レベルは0.5-1ppbv程度と推定でき、NH_3の濃度変動と気象要素(風速、風向、湿度)、SO_4^<2->の濃度変動との比較から、今回観測されたNH_3は、主に、ローカルな発生に由来すると考えられた。NH_3、NH_4^+のガスと粒子への分配を検討するため、NH_4^+/(NH_3+NH_4^+)を計算した結果、NH_4^+は「全アンモニア(NH_3+NH_4^+)」の80%以上を占め、主に、越境輸送によってNH_4^+がもたらされていることが明らかになった。 PM_<2.5>の微小粒子の主要成分はSO_4^<2->と有機物であり、SO_4^<2->については1990年代前半の値の約2倍近い値になっていた。またNH_4^+とSO_4^<2->のモル比は1から2の間であり、越境輸送される粒子中ではNH_4^+が不足気味であることがわかった。
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