2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Linkages in biogeochemical cycles between surface ocean and lower atmosphere |
Project/Area Number |
18067011
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
坂東 博 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (80124353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 昭憲 (独)国立環境研究所, アジア自然共生研究グループ, 室長 (00262030)
定永 靖宗 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (70391109)
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Keywords | 硝酸塩 / 沖縄辺戸岬 / 気塊依存性 / 反応性窒素化合物 / 海洋-大気の窒素循環 |
Research Abstract |
平成22年度では空間的な視点から全硝酸(TN)の沈着についてのアプローチを試みた。沖縄辺戸岬および、五島列島福江島おいてNO_γ,TNの連続観測を行なっているので、辺戸岬と福江島のデータ双方を活用した解析を行なった。具体的には、後方流跡線解析を用いて福江島を経由し、辺戸岬に到達した気塊を選別し、福江島-辺戸岬間の輸送時間とNO_γ,TNとの濃度変動を比較した。その結果、NO_γについては輸送時間に対して辺戸岬/福江島比が減少している傾向が見られた。これは輸送中における沈着、希釈による濃度減少を反映していると考えられる。TNについてははっきりとした輸送時間に対する依存性は見られなかった。TNも輸送中沈着、希釈すると考えられるが、輸送中に生成する過程も存在するため、輸送過程における濃度上昇、下降のバランスが釣り合っていることが考えられる。また、TN/NO_γ比については輸送時間に対して辺戸岬/福江島比が上昇している傾向が見られたが、これは輸送中にNO_2など他の窒素酸化物からTNの生成が進んでいることを反映していると考えられた。 一方、2008年春に測定したアンモニア、アンモニウムの動態に関する解析をすすめ、エアロゾル学会誌に投稿し受理された。内容は、春季におけるNH_3、NH_4^+の平均濃度はそれぞれ0.56±0.50ppbv、2.2±1.4μgm^<-3>であり、NH_3の平均的な濃度レベルは0.5-1ppbv程度と推定できた。今回観測されたNH_3は、主に、ローカルな発生に由来すると考えられた。NH_3、NH_4^+のガスと粒子への分配を検討した結果、NH_4^+は全アンモニア(NH_3+NH_4^+)の80%以上を占め、主に、越境輸送によってNH_4^+がもたらされていることが明らかになった。
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