2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴山 充弘 The University of Tokyo, 物性研究所, 教授 (00175390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 耕三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00232439)
遠藤 仁 東京大学, 物性研究所, 助教 (40447313)
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Keywords | ソフトマター / ダイナミクス / 動的光散乱 / 小角中性子散乱 / ゲル化 / 環動ゲル / 電解質オリゴマー / レオロジー |
Research Abstract |
光散乱を利用した光子相関解析法(DLS)を中心とし、中性子スピンエコー法、レオロジー測定を併用することにより、ソフトマターのダイナミクスの研究を展開した。それらは、以下の3つの研究に大別される。 (1) 環動ゲルのスライディング運動の実験的検証 : シクロデキストリン(CD)環状分子にポリエチレングリコール(PEG)を貫通して得られるポリロタキサンのDMSO溶液のコンフォメーションを小角中性子散乱(SANS)により濃度の関数として評価した。ポリロタキサン濃度が上昇するにつれ、持続長が減少した。一方、PEGのそれは変化しなかった。その理由として、CD分子がPEG上を速い速度で動き回っていると推論した。 (2) 蛋白質のゲル化現象のダイナミクス : 乳性タンパクである、べータラクトグロブリン水溶液の熱および圧誘起ゲル化を小角中性子散乱および動的光散乱により研究した。熱誘起ゲル化では急激にゲル化が進行し、折りたたみがほぐれたタンパク質分子が密に詰まって凝集構造を形成すこと、一方、圧誘起ゲルでは、ゲル化が徐々に進行し、ベータラクトグロブリンの一次構造体がフラクタル構造を形成することがわかった。 (3) 流動場におけるゲル化および緩和ダイナミクス 電解質オリゴマーからなるゲル化剤1-GIの構造を動的/静的光散乱(DLS/SLS)およびSANSにより、温度・濃度の関数として研究した。また、DLSからはゲル点が散乱強度の大きな揺らぎとして、また相関関数の巾状挙動として捉えられた。さらに、ゾルーゲル転移には大きなヒステリシスがあることがわかった。電解質オリゴマーからなる、ゲル化剤1-CIのゲル化能をレオロジー測定により研究した。ゼラチンや従来の低分子ゲル化剤と比較して、非常に速いゲル回復特性を持っていることがわかった。これは、塩素イオンを介在した水素結合成形によるものと推定した。
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Research Products
(56 results)