2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴山 充弘 東京大学, 物性研究所, 教授 (00175390)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 耕三 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (00232439)
遠藤 仁 東京大学, 物性研究所, 助教 (40447313)
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Keywords | ソフトマター / ダイナミクス / 動的光散乱 / 小角中性子散乱 / Tetra-PEGゲル / 環動ゲル / ナノコンポジットゲル / 中性子スピンエコー |
Research Abstract |
本研究では、高分子ダイナミクスの強力な測定手段である光子相関法を中心とし、小角中性子散乱、中性子スピンエコー測定(スピン相関法)を相補的に使用して高分子ゲルを対象とした高分子凝縮系ダイナミクス物理の構築・展開を目指した研究を遂行した。 1)架橋点変化による高分子ダイナミクスの変化:高分子ゲルにおけるダイナミクスの普遍性を明らかにするために、架橋点形成様式の変化による高分子ゲルの構造とダイナミクスの変化について検討した。対象としては、従来の高分子ゲル研究の中心であった点架橋の他に、面架橋、可動性架橋を有する高分子ゲル、高度に架橋制御されたテトラペグゲルなどに対して、架橋点様式の変化による束縛高分子鎖のダイナミクスについての研究を行った。その結果、面架橋性ナノコンポジットゲルにおいては、架橋面間には非常に分子量の大きい高分子鎖が存在し、その多くの部分が架橋面に吸着してリザーバーの役割を果たすため、ゲルの高強力性・高延伸性に大きく寄与していること、また、可動性架橋を有する環動ゲルでは、可動架橋点による自発的応力分散が起こり、優れた力学物性をもたらすことがわかった。さらに、Tetra-PEGゲルにおいては、モジュール高分子の交差カップリング反応の導入により、理想的ともいえる高分子網目が形成できることを示し、得られたゲルは完全弾性体に非常に近ことが証明された。 2)流動場におけるゲル化および緩和ダイナミクス:静置状態では時間とともにその粘性は低下し溶液的振る舞いをするが、一旦、せん断が加わるとゲル状態となるダイラタンシーゲルを対象に流動光学的見地から構造と力学応答についての研究を行った。その結果、せん断により高分子鎖が変形を受け、充填粒子を橋かけすること、また、静置により高分子鎖が緩和することで流動状態を回復することを明らかにした。
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Research Products
(77 results)