2006 Fiscal Year Annual Research Report
やわらかく小さなシステムの構造変化と非平衡ダイナミクス
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 雅己 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (40150263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 能宏 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (60334249)
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Keywords | 非平衡定常状態 / Harada-Sasa等式 / マイクロレオロジー / DNA凝縮相転移 / レーザーピンセット / stick-release応答 / 粘弾性対流 / 粘塑性物質 |
Research Abstract |
1.非平衡定常状態における新しい関係式の実験的検証 非平衡統計力学分野で最近提案されたHarada-Sasa等式をコロイド粒子系に適用し、レーザーピンセットで粒子をドライブさせて非平衡定常状態を実現し、この関係が成立していることを実験的に初めて検証した。さらに高分子溶液中のコロイド粒子系においてもこの関係式を高精度で実証し、高分子溶液中のコロイドの運動が記憶効果を持つ一般化ランジュバン方程式で記述される実験的証拠を与えた。 2.1分子DNAの外力に対する応答と構造変化 DNAはセミフレキシブル高分子の理想的なモデルとして重要なだけでなく荷電高分子であるため1分子でも凝縮相転移を起こす。我々は、1分子DNAを様々のイオン濃度の下でレーザーピンセットを用いて伸張し、凝縮状態の外力応答と構造変化を調べた。その結果、スペルミジン(SPD^<+3>)濃度が十分低い状態では、Worm-Like Chain (WLC)特性、500μM程度では力一定のプラトー特性、1〜10mMの高濃度では鋸歯状のStick-release応答の3種類の特徴的な応答が観測された。また、SPDが200mM以上では再び凝縮が解け、WLC特性が復活するReentrant転移が起こることを1分子で初めて観測した。さらに蛍光観察を行い、ランダムコイル状態と凝縮状態では、伸縮時のDNAのゆらぎが大きく異なることを確認した。 3.加振された粘塑性物質における対流現象の発見 我々は、特異なレオロジー特性を示す物質が非平衡条件下で示す不安定現象にも着目している。今回、ジェルやペーストなど、降伏応力を持つ粘塑性流体に着目し、これらに鉛直方向の振動を加えると、ある振動加速度までは弾性体として振舞うが、振動加速度が閾値を超えると流動化し、平板の上に自立した2本のロールパターンを形成し、内向きに回転を始めるという新しいタイプの不安定性を見出した。
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Research Products
(3 results)