2007 Fiscal Year Annual Research Report
やわらかく小さなシステムの構造変化と非平衡ダイナミクス
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐野 雅己 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (40150263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 能宏 東京農工大学, 共生科学技術研究院, 准教授 (60334249)
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Keywords | 非平衡定常状態 / Harada-Sasa等式 / マイクロレオロジー / DNA凝縮相転移 / レーザーピンセット / stick-release応答 / 粘弾性対流 / 粘塑性物質 |
Research Abstract |
非平衡状態におけるソフトマターの基本特性の探求を目的として研究を行っており、今年度は1分子DNAの伸張による摩擦効果の測定、エントロピーカを利用した新しいレーザートラップ法の発見などの成果を得た。 1.単分子DNAの力学的非可逆応答の測定 単分子DNAの両端にビーズを取り付け、レーザーピンセットにより伸張・収縮を繰り返すことで非可逆仕事の速度依存性を測定した。その結果、行きと帰りのヒステリシス(非可逆仕事)は、伸張速度に比例して増大することが明らかとなった。これはDNAの伸張時のエネルギー散逸の起源に関する知見を与えるものである。 2.熱泳動によるDNA単分子の操作と引き伸ばし 我々は、単一粒子や単一分子を用いて熱泳動の過程を測定し、熱泳動によって単一分子に働く力の測定や熱泳動による単一分子の操作する実験を行った。その一つの成果として、単一分子DNAを熱泳動により引き伸ばし、構造変化を引き起こすことができることを実証し、熱泳動によってDNAモノマーに働く力の測定に成功した。WLCモデルとの比較から熱泳動によるカは1分子当たり2pNと推定された。 3.高分子溶液中コロイドを用いた非平衡関係式の検証 非平衡定常状態で揺動散逸定理が破れる場合に成り立つHarada-Sasa等式とその一般化であるDeutche-Narayanの式を粘弾性溶液中のコロイドの運動解析により初めて実験的に検証した。
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Research Products
(4 results)