2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068011
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 隆夫 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (50127990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 潤 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (10200809)
|
Keywords | ミクロ相分離 / 脂質2重膜 / 共連結構造 / ブルー相 / トポロジカルガラス |
Research Abstract |
理論グループはミクロ相分離構造形成、脂質2重膜小胞のダイナミクスなどの研究を行った。前者の研究では、構造間転移のキネテックスを体系的に調べ、転移の途中で様々な中間構造が現れることを理論的に示した。対応する実験は長谷川博一(京大工)らによって、ごく最近、報告されている。後者の研究では宝谷らの実験を説明することに成功した。 また、非平衡系の自己組織構造形成の典型である、いわゆる、チューリング不安定性でもミクロ相分離構造と同等な、あるいは、もっと多彩な共連結構造が発現することを計算機シミュレーションで確認した。 実験グループでは、下記の項目について研究をスタートしそれぞれ新しい知見を得た。 1.高分子安定化ブルー相のダイナミクス:高分子安定化の手法を用いて凍結されたブルー相のダイナミクスを研究し、メゾスケールの相構造が凍結されているにも関わらず、内部の液晶秩序の揺らぎは元来のブルー相のそれとほとんど変化しないことを見出した。 2.トポロジカルガラス:ある種の階層的な構造を持つ液晶秩序が、自発的に過冷却する現象を研究し、この際内部の運動モードの1つが、一般的なガラス転移点近傍と同じように、スローイングダウンすることを見出した。しかしながら、通常のガラス化と異なり、局所的な分子の拡散運動は全く自由であることを、X線回折、蛍光退色回復法で証明した。 3.ミクロ微界面のガラス化を利用したナノ自己組織構造の可逆なメモリとイレース:ミクロ相分離した微界面に局在的に起こるガラス化を利用して、ナノ自己組織構造をメモリしたり、イレースしたりする原理を考案して、そのプロトタイプとなるリアルな系を見出した。
|