2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 隆夫 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (50127990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 潤 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10200809)
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Keywords | ソフトマター / 非平衡 / 非線形 / ダイナミクス / ナノ構造 / 輸送 / 動的結合 / 揺らぎ |
Research Abstract |
本研究課題では、内部自由度の運動や輸送によって階層構造を発現するソフトマターにおいて、非平衡性生としての"運動"と"構造"の動的な結合のメカニズムを、理論・実験の両面から明らかにすることを目的としている。すなわち、外場によるメソスコピック構造の非線形応答、非線形粘弾性や、メソ構造とゲスト分子・粒子との相互作用を調べることにより、新しい構造の探求、階層性をもつダイナミクスの普遍性を解明する。本年度は、(1)超膨潤リオトロピックラメラ相における、可視光波長に及ぶ長周期構造を利用し、自己組織的なフォトニック構造中の非線形光学現象を研究した。その結果、構造内部で発光した光が、フォトニックバンド中を伝播することにより、発光増強されることがわかった。(2)全フッ素化液晶と炭化水素液晶混合系において、ネマティック秩序とラメラ秩序を同時に発現する、穴あきラメラネマティック(PLN)相を発見した。さらに、このPLN相は、ネマティック配向秩序中に穴あきラメラが埋め込まれた、新しいミクロ相分離構造であることを提唱した。また蛍光拡散測定や、動的光散乱法による分散関係の測定から、モデルの正当性を検証することに成功した。(3)スメクティックA-C (SmA-SmC)転移を示す液晶を光重合性モノマーによって膨潤させ、SmA相における光重合によりSmA-SmC相転移が起こることを発見した。これは、層間に局在した溶媒の運動性が、層内の分子の協同的な傾きに強い影響を与えること示唆する。また、C相において光重合を起こすことで、C-directorの配向制御を行える可能性を見いだした。理論研究では(4)ナノスケールでの生体高分子の構造と運動に関係する研究として半剛直高分子の線形粘弾性挙動を調べ、複素弾性率の解析的表現を世界で初めて導出した。また、ソフトマターの形態と輸送に関係して、自己推進する粒子の一般的運動方程式を提出し、そのモデル系が直線運動のみならず、回転、ジグザグ、カオス的運動など細胞やアメーバの運動と比べうる多彩な運動を発現することを示した。
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Research Products
(15 results)