2007 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマターのメソスコピック界面ダイナミクスとその応用
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00225070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 武史 東京農工大学, 大学院・生物システム応用化学府, 准教授 (40292768)
市川 正敏 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (40403919)
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Keywords | ソフトマター複合系 / ネマチック液晶 / コロイド / 光ピンセット / DNA / 細胞操作 / 導電性高分子 / T 字分岐 |
Research Abstract |
ソフトマター複合系にはさまざまなスケールでの階層的な構造が存在し、異種のソフトマターが接するメソスコピックスケールの界面が存在する典型的な複雑系である。我々はこのようなソフトマター界面の構造やダイナミクスに焦点をあて、それらの物性研究ならびに応用を視野に入れた研究を進めている。本年度は以下の3つの成果を得た。[1]ネマチック液晶中のコロイド粒子間には液晶の配向ひずみに起因した異方的な長距離相互作用が働くことが理論的に知られている。我々は、光ピンセットをミクロンスケールのバネばかりとして用い、液晶中におけるコロイド粒子間相互作用の直接測定に成功した。粒子間力から算出される粒子間ポテンシャルは数ミクロンの距離で数千〜数万K_BTであり、ファンデルワールス相互作用に比べて桁違いの強いものであることが明らかとなった。[2]ソフトマター研究は化学工業や医療への応用が期待できるという側面も持っている。例えば、ひとつの細胞から長い紐状のDNA分子を取り出しそのまま遺伝子解析する手法などは、将来のテーラーメイド医療に向けて強く求められている。この様な背景の下、高分子溶液中に分散させたDNAを集光レーザーを用いて操作する事に成功した。また、細胞の向きを光ピンセットによって効率的に操作する手法を提案した。[3]可溶性の代表的な導電性高分子であるpoly(3-alkylthiophene)(P3AT)は適当な溶媒から析出させることで、アスペクト比が数100にもおよぶ極細ウィスカー形態をとることが報告されているが、このウィスカー形成時に分子量の異なる導電性高分子を混ぜ合わせると、T字分岐が随所に観察された。この分岐構造の電気伝導の温度依存性を測定したところ、ドーピングをすることにより導電経路の次元が一次元的から二次元的へと変化することが確認された。
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