2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマターのメソスコピック界面ダイナミクスとその応用
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (00225070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 武史 東京農工大学, 大学院・共生科学技術部, 准教授 (40292768)
市川 正敏 九州大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40403919)
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Keywords | ソフトマター / 液晶コロイド / レーザーピンセット / 空間拘束 / DNA / リポソーム / 相分離 |
Research Abstract |
ソフトマター複合系にはさまざまなスケールでの階層的な構造が存在し、異種のソフトマターが接するメソスコピックスケールの界面が存在する典型的な複雑系である。我々はこのようなソフトマター界面の構造やダイナミクスに焦点をあて、その特徴的な物性研究ならびに応用を視野に入れた新たな材料開発および制御法の研究を進めている。本年度は以下の述べるような新たな知見を得ることに成功した。 [1] 昨年度に引き続き光ピンセットを用いてネマチック液晶中のコロイド粒子間力の直接測定およびその理論シミュレーション(A02班 福田グループと共同研究)を行なった。粒子近傍に点欠陥を伴うダイポール型粒子-欠陥対と粒子の赤道上のリング状欠陥を伴うサターンリング型粒子-欠陥対との間の粒子間力に関する研究を行ない、実験、シミュレーションともに粒子間距離Rの-5乗に比例することを見出した。さらに、さまざまな欠陥を伴う粒子をレーザーピンセットにより配置することで複雑な構造体の作成を行なうことにも成功した。 [2] 拘束された空間における高分子の形態や拡散をはじめとするダイナミクスは高分子物理学の基本的な問題としてだけでなく、マイクロ流路等を用いた高分子分離や輸送の基礎的な知見を与える点で応用上も重要である。高分子の3次元のフローリー直径より小さな間隔を持つスリット内において、蛍光染色したDNA1分子の広がりおよびダイナミクス(並進拡散定数や回転緩和時間など)を希薄系および準希薄系の広い濃度域で測定した。 [3] 昨年度に引き続き交流電場による多成分リポソームの変形を行い、電場で変形されたリポソーム上の相分離を蛍光顕微鏡により観察することに成功し、その相分離パターンに関して膜の弾性理論を用いた議論を行なった。
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