2010 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトマターのメソスコピック界面ダイナミクスとその応用
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 康之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00225070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 武史 東京農工大学, 大学院・共生科学技術部, 准教授 (40292768)
市川 正敏 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40403919)
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Keywords | ソフトマター / 液晶コロイド / レーザーピンセット / 空間拘束 / 導電性高分子ファイバー / 単分子計測 |
Research Abstract |
ソフトマター複合系にはさまざまなスケールでの階層的な構造が存在し、異種のソフトマターが接するメソスコピックスケールの界面が存在する典型的な複雑系である。我々はこのようなソフトマター界面の構造やダイナミクスに焦点をあて、その特徴的な物性研究ならびに応用を視野に入れた新たな材料開発および制御法の研究を進めている。本年度は以下の述べるような新たな知見を得ることに成功した。 [1]昨年度に引き続き光ピンセットを用いてネマチック液晶中のコロイド粒子間力の直接測定を行なった。本年度は、粒子近傍に点欠陥を伴うダイポール型粒子間の粒子間力の温度依存性およびセルによる空間拘束の影響を測定することに成功した。その結果、力測定より得られた実効的な弾性定数が、別の測定で得られた液晶の弾性定数とよく一致すること、力および粒子間距離をセル厚で規格化することで実験結果が単一のマスターカーブに従うことを見出した。 [2]導電性高分子poly (3-alkylthiophene) (P3AT)からなる幅が数10nm程度、長さが数μm程度のウィスカー状ナノファイバーに対して、原子間力顕微鏡とX線回折を用いナノスケールの形態と結晶構造測定と、バルクおよび1本レベルでの導電率およびFET測定を行い、P3ATナノファイバーのキャリアの輸送と構造の相関を調べた。その結果、FETとしての特性が観察され、キャリア種がp型であることがわかった。四端子測定により、バルクおよびナノファイバー1本レベルでの移動度を算出したところ、ナノファイバー1本レベルの移動度の最大値はμ=6×10^<-2>m^2/Vs程度となり、バルクに比べ増加した。これはファイバー間でのキャリアの授受が行われないことに起因すると考えられる。
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