2007 Fiscal Year Annual Research Report
二次元液晶における分子ダイナミクスの時空間変換の解明
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多辺 由佳 Waseda University, 理工学術院, 教授 (50357480)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 / ナノ構造物性 |
Research Abstract |
キラル液晶薄膜に特定の物質を透過させると、液晶分子が集団歳差運動をするという現象を対象に、ミクロな分子運動とマクロな集団回転との関係を明らかにすべく、MD計算と実験をおこなった。MD計算の結果、鏡面対称性のないキラル液晶分子は、単独に存在していても、分子長軸に沿って物質が連続衝突すると、有意に偏った長軸周りトルクを感じること、また液晶性単分子膜になった時には、1分子あたりの平均トルクが1〜2桁大きくなることが明らかになった。また実験では、キラル液晶単分子膜を物質が透過する際、キラル液晶分子に発生するトルクは透過分子の極性や構造にほとんど依存せず、透過分子の運動量に比例していることが確認された。また、1分子あたりの回転トルクは、液晶膜の膜厚に依存する場合があり、キラル液晶の分子構造によっては、ある転移厚を境にトルクの符号が反転することも判明した。これらの結果は、Lehmann効果として知られてきた、キラル液晶の流れによる一方向回転現象について、そのメカニズム解明に重要な情報を与えるものである。 また、液晶のスメクチックバブルの作製を試み、液晶一等方相転移に伴う配向欠陥挙動や、温度によるバブル内外の物質透過性について調べた。試行錯誤の詰果、フェニルピリミジンを用いて、完全に空中に浮かんだ状態の液晶スメクチックバブル(膜厚:20〜100nm)の作製に初めて成功した。さらに、自作の高感度偏光顕微鏡を用いて、スメクチックバブルの配向状態の観察にも初めて成功した。液晶相への転移に伴う配向欠陥が観察され、それらは対流の影響でダイポールではなくマルチポールとして生成されることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)