2008 Fiscal Year Annual Research Report
二次元液晶における分子ダイナミクスの時空間変換の解明
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多辺 由佳 Waseda University, 理工学術院, 教授 (50357480)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 / ナノ構造物性 |
Research Abstract |
二次元液晶に見られる散逸構造の解明を目指し、本年度は以下のような研究成果を得た。 1) 分子運動から集団運動への発展条件 個々の分子の運動偏りが集団一方向運動に発展する条件を求めるため、運動偏りを持つキラル分子の混合比率と集団歳差運動の速度との関係を調べた。その結果、集団運動発現には、キラル分子比率に閾値が存在し、キラル分子が全体の396未満の場合には、マクロ運動に発展しないことが明らかになった。このことから、動的構造に関する相関長は、静的な配向の相関長に比べて1桁程度小さいことが示唆された。 2) 液晶の歳差運動を利用して微粒子を動かす ガス透過によって液晶薄膜に生じる集団一方向回転を利用して、薄膜上に置いた酸化ジルコニウム粒子を回転させ、液晶分子から微粒子に伝えられる力を、光ピンセットを用いて測定した。得られた力は5pN~5pNの範囲にあり、その大きさは、キラルドーパント濃度と、単位時間単位面積あたりの透過ガス運動量にほぼ比例することが確かめられた。 3) 液晶薄膜のガス透過測定 液晶薄膜のガス透過特性を、バブルを使った簡便な方法で測定した。液晶のスメクチックバブルは界面活性剤一水系のシャボン玉に比べ、安定性がよく強度に優れているため、変形に対して容易には破壊されない。よって、バブルの内外に適当なガス分圧差を与えると、それに比例したガス透過が生じ、結果としてバブルが収縮・膨張する。準平衡状態に達した時のバブルのサイズを測定することで、液晶膜に対する各ガスの透過係数を求められることを簡単なモデルで示し、測定をおこなった。結果として、透過係数の顕著なガス依存性と、そこから求められる拡散係数がストークス・アインシュタイン式から1桁以上外れることがわかった。
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Research Products
(12 results)