2009 Fiscal Year Annual Research Report
二次元液晶における分子ダイナミクスの時空間変換の解明
Project Area | Creation of non-equilibrium soft matter physics: Structure and dynamics of mesoscopic systems |
Project/Area Number |
18068017
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
多辺 由佳 Waseda University, 理工学術院, 教授 (50357480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米谷 慎 産総研, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (30443237)
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Keywords | 非平衡・非線形物理学 / ナノ構造物性 |
Research Abstract |
スメクチック液晶薄膜をガスが透過することによって起きる、液晶分子の集団回転現象について、そのメカニズムの解明と応用展開を目指し、実験・シミュレーションを進めた。まず、本現象を駆動する、液晶薄膜に対するガス透過量を定量的に決めた。ナノメートルレベル厚さの柔らかい液体膜は、微弱な外場によっても破損しやすいので、膜に対するガス透過測定は容易ではない。これに対して我々は、バブルの変形を利用した新規なガス透過測定法とその解析式を考案し、それに基づいて、数種類の異なるガスの液晶膜透過係数の絶対値を定量的に求めた。次に、透過ガスが膜透過時に失う運動量と液晶の回転効率の関係を調べ、その関係がガス種に依らず、常に線形になるという結果を得た。このことは、液晶分子の回転が、古典的な衝突モデルに基づいて、ある程度記述できることを示している。さらに、光ピンセット装置を自作して、液晶膜にガスを流した時に膜上に置かれたZrO2微粒子が受ける力を実測した。その結果、液晶分子の一方向回転に応じて、膜上の微粒子もまた一方向の力を受けることが確かめられ、その大きさは数pNのオーダーであることがわかった。一方、分子動力学計算では、キラル液晶分子系の展開単分子膜における液晶Cダイレクタの回転のミクロなメカニズムとして「キラル液晶分子プロペラ」描像を念頭に置き、その素過程の検討を行なった。計算された結果は、液晶の回転は分子のキラルプロペラにガス分子が衝突して起きる、というミクロなモデルを支持するものであった。
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