Research Abstract |
本研究は,高In組成InGaNおよび高Al組成AlGaNの輻射・非輻射再結合過程を,時間・空間分解分光法によって解明し,さらに,それらを人為的に制御することにより,未踏の波長領域において高効率発光・受光デバイスの実現に寄与することを目標にしている.最終年度は,高Al組成AlGaNの物性評価と電子線励起応用で大きな進展が見られた.われわれのグループでは,これまでに,有機金属気相成長法を利用した高品質な結晶成長法を確立しており,貫通転位密度や発光効率の観点から見た結晶の品質は,世界的にもトップレベルにある.さらに,その光物性,とくに偏光特性を明らかにし,結晶表面から強い発光を得るためのQW構造の設計指針を得ている,これらの結果を踏まえ,AlGaN/AlN QWのキャリアダイナミクスを,新たに導入した波長可変端パルスレーザ励起により測定した.励起子多体効果や電子正孔プラズマによる輻射再結合寿命を定量し,それらが内部量子効率に与える影響を明らかにした.さらに,上記AlGaN/AlN QWを電子線励起することにより,波長240nmにおいて,100mWの出力と最大40%の電力効率が得られた.QWの構造と電子線の加速電圧を最適化したことがその要因であった.得られた特性,特に電力効率は,これまで報告されているAlGaN系発光ダイオード(LED)のトップデータに比べて既に一桁改善されている、このことは,次世代の固体系紫外光源方式として,LEDに代わって,この材料系と電子線励起法の組み合わせが,非常に有望であることを示す成果である.
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