2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属ガラス/ナノ結晶粉末加熱による高密度バルク体の作製、構造変化と特性評価
Project Area | Microwave-Excited, High-Temperature Thermally Non-Equilibrium Reaction Fields |
Project/Area Number |
18070001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
D.V LOUZGUINE 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (60302212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
才田 淳治 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 助教授 (20359540)
中森 裕子 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90359539)
謝 国強 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50422134)
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Keywords | マイクロウエーブ / 金属ガラス / 粉末焼結 / 微細構造 / 機械的性質 / エネルギー / 水素 / 結晶化 |
Research Abstract |
これまでに、マイクロ波焼結に使用できる広い過冷却液体領域(ガラス遷移温度T_gと結晶化の温度T_xの差)を有する新しい金属ガラスを得ることを目的として、種々の金属ガラス粉末を調査した。その後、それぞれ独立の最大電場(E)と最大磁場(H)中で単一モードキャビティによってマイクロ波焼結したBMGサンプルの作製とその安定性の評価を行った。具体的には、最近開発されたFe_<73>Si_7B_<17>Nb_3,Fe_<65>Co_<10>Ga_5P_<12>C_4B_4,Ni_<52.5>Zr_<15>Nb_<10>Ti_<15>Pt_<7.5>,Zr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5およびTi_<47.5>Zr_<10>Cu_<30>Pb_<7.5>Sn_5合金の焼結挙動を調査した。これらの金属ガラスは加熱時に50Kを超す広い過冷却液体領域を示すことから、熱誘起結晶化に対する高い安定性をもった過冷却液体ならびにガラス相を有していると考えられる。なお、粉末試料はガスアトマイズ法で作製した。 Fe_<73>Si_7B_<17>Nb_3およびFe_<65>Co_<10>Ga_5P_<12>C_4B_4合金は、マイクロ波加熱において最大のE及びHでは、静熱加熱時の結晶化開始温度以下であっても結晶化が進行し、ナノ組織を形成した。Ti_<47.5>Zr_<10>Cu_<30>Pd_<7.5>Sn_5合金は最大のEおよびHではともに焼結できなかった。 Ni_<52.5>Zr_<15>Nb_<10>Ti_<15>Pt_<7.5>およびZr_<55>Cu_<30>Al_<10>Ni_5合金は、磁場では加熱ができるものの、電場では十分な加熱はできなかった。Ni_<52.5>Zr_<15>Nb_<10>Ti_<15>Pt_<7.5>合金の場合には、結晶化開始温度T_zよりずっと低い853Kで結晶化が起きた、しかし、無反応状態の不活性ガス雰囲気(Ar)中では843Kの温度で焼結体を得ることができた。これらの結果から、磁場中のNi_<52.5>Zr_<15>Nb_<10>Ti_<15>Pt_<7.5>金属ガラスでは、T_g,T_xおよびΔT_x=(T_x-T_g)はそれぞれ840K、920K、80Kの値を示すものと考えられる。 マイクロ波焼結装置の組上げを行なった。 水素貯蔵材料にマイクロ波を照射し、迅速かつ低エネルギーでの水素放出の可能性を検討した。その結果、金属水素化物MHnのうち、金属伝導を示すTiH_2において金属伝導に起因した急速な昇温が確認されたが、マイクロ波侵入深さが小さいために、表面層から少量(0.2質量%以下)の水素しか放出しなかった。一方、錯体水素化物のうち、LiBH_4は380K以上の温度で迅速な温度上昇がおこり、13質量%の水素が放出した。 これらの結果は、マイクロ波を利用した省エネルギー型水素貯蔵素ステムの可能性を示唆するものである。
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