2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波選択加熱を使った非平衡動的過程のIn-Situ計測実験研究
Project Area | Microwave-Excited, High-Temperature Thermally Non-Equilibrium Reaction Fields |
Project/Area Number |
18070004
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
佐藤 元泰 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (60115855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 信博 広島大学, 工学研究科, 准教授 (70243590)
福島 英沖 豊田中央研究所, 先端研究センター, 主任研究員 (40394457)
下妻 隆 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80270487)
高山 定次 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40435516)
岡島 茂樹 中部大学, 工学部, 教授 (90113084)
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Keywords | 低エネルギーフォトン / エネルギー経路 / 非平衡加熱 / 非アレニウス藩王 / 活性化エネルギーの付与 / 高次構造破壊 / 反応速度 |
Research Abstract |
マイクロ波というコヒーレントな、つまり単色で位相がそろった電磁波が,物質の電子に集団運動を励起し、そのコヒーレントな性質を保存しながら、機械的エネルギーが化学反応および分子・結晶などの構造変化をもたらすに必要な大きさまで累積する。集団的な機械的運動の累積は熱力学的な仕事であり、温度で表されるボルツマン分布に従う(周波数が広がった位相がばらばらの)熱運動とは異なるエネルギー状態である。仕事と熱の関係は、理想気体におけるカルノーサイクルなどでよく知られているが、物質の電子とイオンという固体プラズマを作動媒体として、マイクロ波プロセスを仕事と熱に分けて説明できるという理論仮説を提唱し、これを実験的に証明した。 超高真空環境で金属酸化物の粉末をマイクロ波で還元し、酸素の発生速度が酸素分圧に比例する関係(dn_<02>/dt=P_<02>・f/RT_0=k_0exp(-△E/RT))(fは排ガス速度、T_0は室温、逆反応を無視)を用いて、反応の活性化エネルギー△Eを、マイクロ波による還元酸素分圧P_<02>の温度Tに関する依存性InP_<02>∝-△E/RTという関係を使って算出した。酸化銅(Cu_2O)のマイクロ波加熱と通常の赤外線加熱において、反応の活性化エネルギーは,それぞれ80kJ/molおよび320kkcal/molであると算出された。すなわち、マイクロ波では80kJ/molの低い活性化エネルギーで、通常加熱の1/3程度で反応が進行している。このことは、反応の活性化エネルギーの大部分が機械的な運動エネルギーの形態で与えられることを明確に示している。この実験は、マイクロ波プロセスに於けるエネルギー供給過程を、アレニウス型の熱エネルギー供給と非アレニウス型の単色性の位相がそろった・エネルギー供給に分けて定量的に計測した世界で最初の実験である。同様な実験結果は、酸化チタンにおいても得られており、チタンでは表面現象だけでなく、マイクロ波による仕事がナノ結晶化など体積的、つまり物質の内部に直接に構造相転移のエネルギーを供給できる機構があると推定されている。
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