2006 Fiscal Year Annual Research Report
フレーバー混合における標準理論を超える物理の理論的研究
Project Area | New Developments of Flavor Physics |
Project/Area Number |
18071001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日笠 健一 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (20208739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 昌弘 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (10222366)
棚橋 誠治 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00270398)
諸井 健夫 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (60322997)
山田 洋一 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (00281965)
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Keywords | 素粒子理論 / 素粒子実験 / 宇宙論 |
Research Abstract |
トップクォークの生成・崩壊過程における,超対称粒子の起こすフレーバーを変える中性カレントの効果を,LHCにおける検出可能性に重点をおいて計算した。スカラーチャームとトップの混合に対する,既知の種々の制限を課すことにより,検出の可能性がある過程は,トップのチャームとヒッグス粒子への崩壊などであることが見出された。 アノマリーにより超対称性の破れが起こるモデルにおいて,ゲージノの質量がアノマリーに起源を持ち,他の超対称粒子の質量がケーラー相互作用から導かれるようなクラスを考える。この場合中性ウィーノが最も軽い超対称粒子となることが多い。中性と荷電ウィーノの質量差は非常に小さく,実験的な検出は高度な技法を必要とする。LHC実験におけるウィーノを特徴づける事象の考察を行った。 3サイトの脱構築無ヒッグスモデルにおいて,電弱パラメータS,Tに対する1ループのカイラル対数補正の計算を行った。このモデルに特有のp中間子的なベクトル粒子を含めた寄与を標準理論的な部分と高エネルギーの部分に分割できることが示され,ダイナミカルな電弱対称性の破れの機構に対する一つの理解が得られた。 また,無ヒッグスモデルにおける南部ゴールドストンボソンの弾性散乱を調べ,総和則や部分波に対するユニタリ性上限を導いた。 スカラーニュートリノが2番目に軽い超対称粒子で,グラヴィティーノと通常粒子に崩壊する場合を考えると,宇宙初期におけるスカラーニュートリノの崩壊が,原初元素合成に影響しないためには,スカラーニュートリノの原初量に対して制限が与えられる。グラヴィティーノの質量が1から100GeVの範囲にある場合,4体崩壊が最も重要であることが見出された。 宇宙暗黒物質の候補としての右巻きスカラーニュートリノは,超対称パートナーであるニュートリノがディラック質量を持っている時に生じうる。宇宙初期において必要な量の右巻きスカラーニュートリノを生成する条件,および原初元素合成による制限について考察を行った。
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