2011 Fiscal Year Annual Research Report
フレーバー混合における標準理論を超える物理の理論的研究
Project Area | New Developments of Flavor Physics |
Project/Area Number |
18071001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
日笠 健一 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20208739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 龍一郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50543451)
山田 洋一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (00281965)
棚橋 誠治 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 教授 (00270398)
戸部 和弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20451510)
諸井 健夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60322997)
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Keywords | 素粒子理論 / 素粒子実験 / 宇宙論 |
Research Abstract |
超対称理論をはじめとする,標準理論を拡張する理論におけるフレーバー物理現象と関連する宇宙物理に関する理論解析を続行した。具体的には,(1)超対称理論において暗黒物質と目されるニュートラリーノの質量と核子との散乱断面積を,高エネルギー実験からの理論への制限と,最新の直接探索の結果を比較することにより,最小超対称標準模型を最低限拡張した模型(NMSSM)において,許されるパラメータ領域を求めた。直接探索で示唆されているような軽い暗黒物質は理論的に可能であることが見いだされたが,ヒッグス粒子が暗黒物質に崩壊する分岐比が非常に大きくなることがわかり,この模型の可否はLHC実験の結果に左右される。(2)トップクォークの対生成の測定において,標準理論の予測をはるかに超える値の前後方非対称性が,テバトロンの実験において観測されている。この原因として,新しい荷電ゲージボソンW'や,ダイクォークの存在を仮定する模型が提案されている。これらの模型において,LHCでのトップクォーク生成におけるトップの偏極や荷電非対称性を予測した。初期LHC実験の結果はすでにW'の模型に厳しい制限を与えることが見いだされた。(3)ミューオンの異常磁気モーメントの理論計算におけるハドロン真空偏極の効果を,最新の電子陽電子衝突の実験データを用いてアップデートした。その結果と実験による測定値のずれは3.3標準偏差の効果となった。また,同じデータを用いて,Zボソンのスケールにおける微細構造定数の値を求めた。(4)超対称理論において誘起される,レプトンのフレーバー非保存崩壊率を評価し,Bファクトリーにおけるタウレプトン崩壊の実験探索の上限値を用い理論のパラメータ空間に対する制限を求めた。
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