2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Probing the Dark Energy through an Extremely Wide & Deep Survey with Subaru Telescope |
Project/Area Number |
18072004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉山 直 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70222057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 隆彦 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (00282715)
吉田 直紀 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 准教授 (90377961)
高橋 龍一 弘前大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (60413960)
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Keywords | ダークエネルギー / 構造形成 / 密度揺らぎ / 宇宙大構造 |
Research Abstract |
当該年度は、ダークエネルギーが宇宙大規模構造の形成に及ぼす影響、特に間近に迫った、すばる搭載超広視野カメラHSCでの観測に対する知見を得ることを目的とし研究を遂行した。まず、これまでに行った大規模宇宙論的N体数値シミュレーションのデータを公開するとともに、解析を行った。具体的には、大域的な銀河探査による重力レンズ効果を予測して、実空間でのコバリアンス行列(パワースペクトルの分散)の計算を行い、また像の増光率や歪みの確率分布関数を調べた。さらに数値シミュレーションの成果として、宇宙の密度揺らぎの非線形パワースペクトルを多数の宇宙モデルや赤方偏移に対して作成し、そのフィッティング公式を作成した。さらに早期銀河形成の宇宙論的シミュレーションを用い、ライマンアルファ輝線銀河とよばれる星形成銀河の空間分布、光度関数など統計的諸性質を明らかにした。最近得られた宇宙年齢20億年の頃に存在した銀河の観測結果と詳細に比較し、銀河からの紫外光脱出確率の新しいモデルを提案した。この成果も、HSCカメラでの観測提案へとつながるものである。 解析的取り扱いついては、非線形摂動論を大幅に拡張して、実際の観測可能量を予言するための統合摂動論の基礎的な土台を完成させた。この新しい理論的方法を数値シミュレーションと比較して、赤方偏移空間変形効果、ハローバイアスの効果などの非線形領域の振る舞いの理解を大きく広げた。この他にも、ダークマターが任意の質量の粒子に崩壊する場合のモデルに対する制限をつける研究や、宇宙背景放射の温度揺らぎの空間パターン解析から、その角度パワースペクトルに、音響振動のスケール近辺に奇妙な構造が見られること、そのよう構造は宇宙初期の大膨張期であるインフレーションでは生成することが難しいことを明らかにする研究など、ダークエネルギーが存在している宇宙での大規模構造に関連する多彩な研究を進めた。
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Research Products
(32 results)