2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外増殖性グラム陰性菌の増殖・生活環および病原性発現機構の研究
Project Area | Matrix of Infection Phenomena |
Project/Area Number |
18073003
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笹川 千尋 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (70114494)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 哲也 大阪大学, 微生物病研究所, 特任教授 (90221746)
|
Keywords | 赤痢菌 / 腸炎ビブリオ / 3型分泌装置 / 感染 / 病原性 / エフェクター |
Research Abstract |
赤痢菌のIII型分泌装置(TTSS)を通じて分泌されるエフェクターは、いずれも感染の開始から成立に至る過程で宿主細胞へさまざまに作用していることが推定されるが、役割を終えたエフェクター分子の宿主細胞内における挙動は不明であった。赤痢菌の上皮細胞侵入に中心的な役割を果たすIpgB1と部分的(25%)な相同性を示すIpgB2は、IpgB1と共に、赤痢菌の細胞侵入に伴い上皮細胞へ分泌され分泌されるが、いずれも菌の細胞侵入とともに細胞内で速やかにプロテアソーム依存的に分解されることが明らかとなった。今後IpgB1およびIpgB2のユビキンチン化にかかわるE3リガーゼを同定する。さらにIpgB2はRhoAの活性化を通じて、IpgB1によるRac1の活性化を抑制する作用があることが、in vitro(遺伝子導入実験)およびin vivo(感染実験)で明らかになった。一方、プロテオミックスの方法でTTSSより分泌が示された新規エフェクターOspH, OspI, OspJの感染に果たす役割を精査したが、各々の遺伝子導入および欠損赤痢変異株の感染では細胞応答に顕著な変化は認められなかった。しかしOspIの遺伝子導入細胞では炎症応答が有意に抑制されていた。次年度は、OspIの標的因子を同定しその感染における役割を解明する。 腸炎ビブリオについては、本菌のもつ2種類の3型分泌装置から分泌されるエフェクター蛋白質としてこれまでに同定したそれぞれ4個および19個のうち、腸炎ビブリオの細胞毒性に主たる役割を果たすエフェクター蛋白質VPI680と下痢原性に主たる役割を果たすVopEを明らかにした。また両3型分泌装置が発現誘導される条件(胆汁の存在など)を明らかにした。
|